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「真田さんっ、真田さん!何も言わずしゃがんでくださいっ」
「む、むう?!」
いきなり大声で呼び止められて、俺は戸惑いながらも彼女の言うとおりにした。
土の上に片膝をつき、腰を落とす。
駆けてきた彼女は、そっと俺の帽子をとり、何かを頭につけてきた。
「……わ、わわ私本気で勇者かもしれない……っ」
「なにを言っているんだ?お前は」
何やら震えながら何か呟いている彼女に頭を傾げたら、柳が俺に近づいてきて「弦一郎、見ろ」と手鏡を見せてくる。
そして俺はやっと自分の惨状を理解した。
「……た」
「ややややばいっ」
「たわけーぇっ!!!」
「ぎゃー!」
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