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「鳳くーんっ」
「あ、どうかしたかい?」
「…………っ」
機嫌が良さそうにスキップしながら近付いてきた彼女は、首を傾げた俺を見上げたまま固まった。
その表情はどこか憎らしげに、そして悲しそうな色をしている。
「……あ、あの?」
「……くっ、鳳くんなんか嫌いだ!」
「えぇっ?!」
正直泣きたくなった。
一体俺は何をしてしまったんだろうかと本気で悩んでしまう。
だけど「畜生っ」と吐き捨てながら、地面に猫耳カチューシャを投げつけた姿を見て、あぁ……と妙に生暖かい視線を送ってしまった。
…………間違いなく、身長差を考えてなかったんだ。
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