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「あ、毒手の白石さーん!」
俺を呼んどるらしい声に振り向けば、やっぱり氷帝の彼女やった。
「……あんな、自分……前から言っとるけど、ええ加減その毒手のっての外してくれへん?」
「……え、えくすたしーの白石さん……」
仄かに赤くなりながら恥ずかしそうにそう言った彼女は可愛いけど、憎らしくも感じる。
「恥ずかしいんやったら辞めや」
「あはは、冗談です」
「冗談やなかったら、俺今すぐ泣くわ。……で、なんなん?」
「……あ。こちらを毒手の白石さんに」
戻っとるで。とつっこもうとした俺は、彼女が取り出した猫耳カチューシャを見て言葉を失った。
「…………そういう趣味もありやと思うで。大丈夫や、俺は受け入れたる」
「な!なな何を!違いますよ、これも一種の冗談で!」
同情的な目で見たら、慌て出した彼女にニヤリと笑ってやった。
「……知っとるよ。さっきの仕返しや、ほなな」
自然な流れで彼女の頭をぽんぽんしてその場を去る。
……あかん。
後からドキドキしてきたわ。……でも、彼女の髪は柔らかかったし、それに
「……んー、エクスタシー……って、変態か!俺はっ!!」
……彼女の香り、なんでこんなええ匂いやねんやろう。
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