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「……違うんです。探していたのは忍足先輩ではないんです」
「……自分、正直なんは美徳やと思うけど……さすがに俺も傷つくんやで?」
その後すぐに驚いたように目を見開いた彼女に心が折れそうになった。
……最初イジメ過ぎたんがあかんかったか。
なんや、もうこの小動物俺のこと警戒しすぎやろ。悲しなるわ。
「……で、なんなん?誰探しとったん?」
「……丸眼鏡をかけていないテニス部の人、ですかね」
「わかった。俺以外やな。……で、その猫耳どうするん?……って、男につけても、おもろないやろ。なんなら、メイド服持っとるから、ぜひここはお嬢さんに着てもらいたいとこ……」
「…………」
この日から、彼女の俺を見る目がさらに複雑になったんは、言わずもがな、や。
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