初日の夜in四天宝寺
「明日は五時半には叩き起こすでー。せやから金ちゃんも早よ寝やー」

「えぇー嫌やー、まだ眠とうなーいー」

蔵リンが手をパンパンっと叩いて、金太郎さんを立ち上がらせようとするけど、金太郎さんは柱に抱きついて必死に抵抗している。
イヤやわぁ。金太郎さん可愛えぇ。あんなんしてもムダやのになぁ。

「まぁこのお笑い番組終わるまで待ったれや。あと、三十分ほどやし」

謙也くんの言葉で爛々と目を輝かせた金太郎さんに蔵リンはため息をついていた。

「しっかし、関東の笑いはわからんわ」

「まぁあれや、やっぱ関西が本場やっちゅー話や」

ユウくんが頭をかいたら、謙也くんはドヤ顔でそう答える。
いやーん、別に謙也くんがオモロいわけでもないのになんでそんなドヤ顔で言うんやろ。可愛えぇわぁ。

「こ、小春っ、なんで謙也なんか見つめとるんや?!浮気か!」

「うっさいねんっ!一氏キモイから近付いてくんなや、ボケェ」

なんで寝る前までアンタとくっついてなあかんのや。アホちゃうか。
涙目でユウくんが見てきていたが、蹴り倒してやった。

「…………」

そんな時、不意に視界の端にいた光くんが口元だけ笑ってんのが見えた。

「おー、あんむぞらしかな子ばい。夢野さんの写真撮っととねー?」

「な、なんやて?!」
「きゃー、光くんったらいつの間に!」

アタシも近付いて覗こうとしたんやけど、先に千歳くんが覗いたらしい。千歳くんの台詞に思わず食いつく。

「……なんすか。人の携帯、覗かんといて下さい。プライバシーの侵害ですわ」

「い、いや、それよりも財前っ、盗撮はいかんやろ!盗撮はっ」

「なんで盗撮って決めつけとるんや。うざいっすわ、謙也さん」

狼狽えている謙也くんに光くんは鼻で笑って、冷たい視線を向けた。

「なら、いつその写真撮ったん?」

光くんの横に移動して画面を覗けば、携帯電話を翳して真剣な表情の詩織ちゃんの横顔やった。

「……詩織が氷帝の跡部さんのイラってするドヤ顔撮影してた時っすわ」

「「ど阿呆っ!やっぱそれ盗撮やんけ!!」」

涼しい顔で言った光くんに盛大につっこんだ謙也くんと蔵リンに思わず感心する。
蔵リン、詩織ちゃんのことなると、謙也くんと同レベルになるって気付いてるんやろか。否、気付いてないやろうなぁ。見てる分には面白いから黙っておくけど。



「…………なぁ、お前ら。せやからな、ここ俺と千歳の部屋やねんけど。つか、金ちゃん、寝てもうとるで」

健ちゃんの声はちゃんと聞こえとったけど、敢えて無視した。……これが関西人の愛やで!

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