「……鳳、お前のせいで交友関係が少ないやつみたいに思われただろ」
いつも宍戸さんや先輩たちと屋上か学食で食べるのだけど、今日は少し日吉に相談したいことがあったから、日吉のクラスで二人だけで食べる約束をしていた。
少し遅れてしまったので、日吉のことだからもう食べ始めているだろうなと思ったら、まだ手付かず状態で。
しかももの凄い不機嫌そうなオーラを醸し出している。
「ご、ごめんって」
もう一度謝ったら、日吉は無言で食べ始めた。
俺も慌てて弁当を取り出す。
「…………それで?正レギュラーになったくせに何の相談だ」
冷たい視線を向けられて、思わず苦笑した。
さすがにかなわないな。
プレッシャーを感じて不安になってた、なんてこれじゃあ口に出せない。
「……そうだな。ありがとう、日吉」
「ふん。自己解決か、いい迷惑だ」
そう言った日吉の視線が隣の席に移る。
あれ、そういえば日吉の隣は空席だったような……
そう考えてから、転入生の話題を思い出した。
「……隣になったんだ?きっと大変だよね。あんな事故にあったんだし。どんな子だったの?」
「……独り言の多い変な女」
そう答えた日吉の眉間には、皺が深く刻まれていた。
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