善哉(光)<詩織、自分、比嘉中の人らとグループアプリしとるやろ?テンションうざいし、腹立つから新垣電話帳から消してええで
パンダ詩織<ひ、光くんは、浩一くんになんの恨みがあるの?!
何か示し合わせたかのように、チャット仲間の三人がスマホに変えて、私たちはメッセージアプリにてグループを作ったわけだ。
作ったのはいいんだけど、いきなり光くんが怖い。なんだろう。
意味がわからないので、とりあえず浩一くん、逃げてって念じておいた。
Eleven(十次)<あーえっと、これで発言かな?
Eve(深司)<ふーん。スタンプも後でゆっくりみよ……
善哉(光)<自分ら自由人か
Eleven(十次)<いや、俺は確認しただけで
パンダ詩織<一番自由人なのは光くんだよね?!
スマホと睨めっこしながら、思ったことを打ち込んで発言したあと後悔した。
まるで独り言に気づいてしまった後みたいな、じわりとした悪寒が私を襲う。
善哉(光)<えぇ度胸やな?
パンダ詩織<光様、財前様!どうかお許しを!!
慌ててパンダが慌ただしく土下座を繰り返すスタンプを送った。
暫くの沈黙の後、光くんは突然グループに赤也くんを招待していた。
Eve(深司)<はぁ?なんで切原なんだよ……チャット仲間関係ないじゃん……
Eleven(十次)<ちょ、伊武!
赤也<お前らの名前何それカッコイイ!って打ってたらなんだよ!俺の事邪魔者扱いすんなよ!
善哉(光)<せやろ
パンダ詩織<やっぱりパンダカッコイイよね!わかってる!可愛さとカッコ良さと美しさが同時に存在してるから!
赤也<いやすまん、財前と夢野以外
赤也くんの発言で余計に機嫌の悪くなった光くんが恐ろしかったけども、ちょっと嬉しそうな深司くんと十次くんも可愛かった。
でもパンダの良さがわからないなんて、赤也くんもまだまだだね!
善哉(光)<で。切原を招待したのは……まぁなんとなくやわ。つか、ちゃうねん。詩織が伊武に抱きついた件について。
赤也<なんだよそれ、何かのラノベの題名みてぇ……ってえ???
私は目を疑った。
私が深司くんに抱きついた……とは?
パンダ詩織<何の話??
Eve(深司)<ほらね。だから言っただろ。絶対詩織のバカは無意識にやったっていってるじゃん。何度説明しても本人に聞こうとするんだから……はぁ、財前って本当に面倒臭いよな……
Eleven(十次)<でも無意識って、潜在意識ってことかもしれないし
流れる画面を見ながら首を捻る。
自分のことを言われているはずなのにまるで他人事だった。
私が深司くんに抱きついた……?
うーん、と唸ってからハッと顔を上げる。
昨日の朝のことかな?!
深司くんたち不動峰の皆がランニングついでに応援の言葉をかけてくれたあの時のあれなんだろうか。
思い出したけど、流れる会話を暫く眺めてから、問答無用で寝ることに決めた。
今会話に入ってもやぶ蛇である。
私が逃げたと思ったのか、会話の流れは赤也くんが皆みたいに名前の前に何かあだ名か通り名をつけたいという話に変化していっていた。
その為、油断した私はつい「ワカメ(赤也)かな!」と打ち込んでしまって「ほらやっぱり起きとるやんけ」と光くんに怒られてしまったのだった。
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