「ははっ、室町くんも言うねぇ。モチロン、可愛い子とお近づきになってたんだよ〜」
俺がへらっとそう笑えば、室町くんは心底呆れたようなため息を吐き出した。
サングラスに隠れて見えないけど、きっと蔑んだ視線を送ってきているんだろうなぁ。
「メンゴ!……ところでさ、南は?」
「南部長なら、先に跡部さんに会ってますよ。跡部さんは一応覚えていてくれたみたいですけど、さっきまでお前ら誰状態だったんですから。あ、ほらあそこです」
「……あ〜、南は地味'sだからねぇ」
本人は派手だと言い張っているけど。
「跡部クン跡部クン!久しぶりだねー」
「……アーン?なんだ、千石もいたのか」
相変わらずの口調で跡部くんは肩をすくめると、すぐに口元に笑みを浮かべる。
「……南にもいったが、残念だったな。今度の連休は他校と練習試合している暇はねぇんだ。合宿をする予定でな」
「え、そうなの?」
南を見れば苦笑していた。わざわざ出向く前に連絡しとけば良かったのに。否、俺は可愛い子と知り合えたから無駄足じゃなかったんだけどね。
「……だが」
すぐに跡部くんは続けた。その顔はどこか挑戦的だ。
「地区大会前だが、実は立海と青学との合同合宿だったんだ。……つい先日、四天宝寺の白石と小石川が来てな。急遽、四天宝寺も参加することになった。場所は軽井沢だが……お前らんとこも来るか?」
「あ、いいの?!ラッキー!いくいく!参加するよっ」
「ちょ、千石さん?!」
室町くんが驚いていたけど、気にしない。
強豪校がそれだけ集まるなら、参加しない手はないよねぇ。
それに
「ハンっ。決まりだな!」
跡部くんの挑戦は受けなきゃね!
「…………千石、部長は俺なんだがな」
「うわっ、地──南っ、メンゴメンゴ!」
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