乱入男子は一先ず様子を見る
「ジロー、間違いなくここやねんな」

「間違いないCー。ここのプールに女友達と遊びに行くって行ってたC!」

俺がうんうんと大きく頷いて見せたら、忍足はいつもの伊達眼鏡の代わりに黒のサングラスを光らせて満足そうに口角をあげた。
マジマジ普段の二倍で怪Cーんだけど!
とりあえず、詩織ちゃんの方が大事なので特につっこむのはやめる。面倒くさEーってのもある。

俺はあんだーりむっていう形の伊達眼鏡をかけてた。

「なぁなぁ、ジロー。お前のやつと変えてくれよ。これ侑士のやつでダサくて嫌なんだけど」
「岳人、泣くで?」

丸くて大きい伊達眼鏡に文句をいっているがっくんを無視して「あそこに詩織ちゃん!」と声をあげた。

「激ダサ……」
「なんか夢野さんを尾行するの二回目ですよね」

いつもの台詞を吐いてる宍戸とのんびり笑っている鳳にしっと人差し指を立てて唇に添えて振り返る。
二人ともすぐに黙ってくれたけど、ほんともっと真剣になって欲Cー。

視線を発見した詩織ちゃんに戻せば、プールの入り口付近で篠山ちゃんと及川ちゃん……だったかな、たしかそう。そんな名前だったはずの女の子達と合流していた。

「あー、あれは詩織ちゃんが流夏ちゃん言うてる子やんな?相変わらずボーイッシュやわ。性別知らんかったら詩織ちゃんのボーイフレンドかと思ってもうたわ」

それから忍足が言った通り、流夏ちゃんっていう子も合流する。

「よかった、ちゃんと女の子だけで入っていったCー」

二日前に電話したとき、詩織ちゃんがプールに行くって教えてくれて。行きたいって言ったら「女の子たちできゃっきゃっするのでダメです。ジロー先輩が女の子用の水着着用して女の子になりきるならオッケーですが!」って断られそうになって慌てて「じゃあ女の子になるC!」って言ったら速攻で「ごめんなさい、ジロー先輩、冗談です。でも流夏ちゃんたちいるからほんとご勘弁を」って謝られた。
でももし俺以外の男がいたらどうしようって思ったんだけど、そんな様子はまったくなくて、やっぱり詩織ちゃんが嘘つくはずないかと安心する。

「で、やっぱ入るんだよな?つか跡部とか日吉は?」

「跡部と樺地は目立つから今日の計画は話してないCー。日吉は嫌がっててー、滝が連れてくるって行ってたから後から来るかもー?」

がっくんにそう言ってたら、宍戸が「うわっ!」って叫んで、振り返ったら滝が日吉と一緒に立ってた。手には凍ったペットボトルを持って笑ってたから、たぶん宍戸の肌にあてたんだと思う。

「あれ?日吉も変装してるの?」

乗り気じゃなかったのに……と続けた鳳に日吉は苛ついた様子で盛大に舌打ちしていた。

「人が宿題していたら、滝さんが無理矢理引っ張って来たからだっ!お前、その変なサングラスはなんだよ!俺のは家で使ってる眼鏡だからなっ」
「宍戸先輩とお揃いのサングラス、変じゃないけど?」
「お前はもういい。喋るな」

「あはは、とりあえず、中に入ろうー!」

滝が最後にそう言って俺たちは詩織ちゃんたちの入っていったプール施設に足を踏み入れたのだった。

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