理由は謝罪と、友達にならへん?というまさかの友達フラグだった。
何故私と?と疑問が口を出れば「おもろそ──げふげふん、可愛えぇ子やから?」と返ってきた。
が、おもろそうってはっきり聞こえた上に、完全なる疑問符と来たもんですよ!自分が一番違うってわかってるのに!
だから、ごめんなさい。と断った。そしてさっきの小さめの先輩にも失礼な発言してごめんなさいと伝えてください。と告げて逃げたのである。
忍足先輩は無表情だったけど、もう私に面白さを求めないことを祈った。悪い人じゃないと思うけど、篠山さんからも跡部様の次にファンクラブが怖い人だと聞いたら、もう無理だ。
私では先輩のお友達は務まりません。
「えー、俺は詩織ちゃん可愛Eーと思うよ〜」
「あはは、芥川先輩ご冗談を」
「あはは〜、マジマジ可愛Eーよ!それからジローだってばぁ」
私の一人回想に入ってきたのは、芥川先輩だった。うん、回想をまさか口に出していたなんて信じたくない。
信じたら、私は放課後の屋上で独り言をブツブツ口に出していた痛い女じゃないか。
「……うんー、詩織ちゃんじゃなかったら、怖いかも〜」
「うわぁんっ」
心が痛くて泣いたら、芥川先輩が私の頭をよしよしと撫でてくれた。
さっきまで寝ていたのに、もう今はすっかり元気みたいだ。
「……ぐす。ところで芥川先輩、練習に行かなくていいんですか?ほら始まってますよ」
屋上から見えるテニスコートを指差せば、芥川先輩はぷぅっと頬を膨らませる。え、可愛い。
「……ジローだC〜。詩織ちゃん、マジ耳悪いんじゃないの〜」
……困った。
芥川先輩、可愛いです。
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