否定することを容赦しないそんなメールが届いたのは、氷帝学園の近くにある定食屋さんに入って、玉子焼きを口に放り込んだ時だった。
流夏ちゃん、相変わらず流夏ちゃんらしい。
別に嫌でもないし、むしろ流夏ちゃんには会いたい。
メールがきてすごく嬉しかったから、テンション上がって端に避けてたピーマンも食べた。
その後すぐに返事を返し、水を飲み干す。ピーマン不味い。何故食べた。
「……あ」
それからお勘定を済ませた後に、お気に入りのパンダの携帯ストラップが一つ失われていることに気付く。
じゃらじゃらと揺れる携帯ストラップのパンダくんたちが、今頃気づいたのかよと嘆いているかのようだ。
「あぁあ、いかん、パンダ三号を連れ戻さなければ……」
舞台台詞みたいに大袈裟に口に出したら、定食屋のおばちゃんが大層驚いていた。あの、ごめんなさい。
一礼してから恥ずかしさに顔を赤くしたまま走り去る。
目指すは先程ヴァイオリンを弾いたあのベンチ。
そこでしか携帯を触ってはいなかったので、たぶん間違いなくそこのはず。
「うあっ?!」
「ん〜……っ」
ベンチの場所まで到着したら、無惨にもベンチ裏の芝生に横たわったいるパンダ三号を発見した。
だから急いで救出したのだけど、その時何かを踏んでしまった。
否、何かは人だ。
男の子である。
ぴくりとだけ身動きした彼は、そのまま息を引き取ったかのように見えた。
「きゃあぁ、すみません、金髪の少年さん、死なないでくださいーっ」
まさか私の体重で人を殺すなんて……っ
否、たぶんもう既に瀕死状態だったから、こんな場所で倒れていたのかもしれない。
がくがくと揺さぶれば、「うぅん……眠い……」と彼の口から台詞が漏れた。
その瞬間に、彼は寝ているだけなのだと理解し、手を離す。
私の支えを無くして、ガツンッと男の子は頭を打った。……流石に痛かったのか呻きながら彼は起きたのだった。
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