「お前の話違うんかい!っちゅーか、あ、芥川くんは、そそそのっ」
『大丈夫やで。ジローは詩織ちゃんを送ってジュースご馳走になったら、いつの間にか眠っとったらしい。あいつな、どこでも寝るんよ』
「芥川くんは色々大丈夫かいな」
何が大丈夫やねん。彼、全然大丈夫ちゃうやろ。と突っ込んでから、今すべきツッコミどころはそこちゃうわっと叫んだ。
『急に叫ぶなや。煩いやつやな、相変わらず』
「急にわけわからん電話報告してくるやつに文句言われたないわボケ」
受話器向こうの従兄弟は、参ったように溜め息をついてから『……処理しづらかったんや』と苦笑する。
『それに、謙也も詩織ちゃんの話やったらなんでも聞きたいやろう思てなぁ。……あ、ジローが言うには詩織ちゃんの下着、超セクシーらしいわ…………嘘やけど』
「ち、ちょちょ、超セクシー?!い、いやっ、何言うとるん?!否、なんで俺が夢野さんの話聞きたがってるって思うたんやっちゅー話で……セクシーなんか!!って嘘なんかい!」
『……キモいで』
侑士の呆れたような声が聞こえて、自分に言われたないわボケぇっと怒鳴ってもうた。
それからすぐに通話終了ボタンを連打する。
無言になった携帯電話を見つめながら、暫くしてからやっと冷静になってきた。
「…………この話、財前は知っとるんやろうか」
不意に頭に過ぎった後輩に、思わず電話帳をスクロールさせる。
聞いて何があるわけでもないが、色々衝撃的だったせいもあり、俺はすぐに財前の番号へと発信していたのだ。
……あかん。誰かと話してな、夢野さんの下着姿妄想してまうわ。
早よ出てくれ、財前!
59/79