あたふたオロオロ
──目が覚めたら朝だった。
そして、目の前に可愛らしい寝顔のジロー先輩がいた。



「……のぉおあぁ?!」

思いっきり飛び起きたら、どうやらリビングに置いてあるパンダちゃぶ台の下だったらしく、後頭部を強打する。
めちゃくちゃ痛い。そしてちゃぶ台が数センチ勢いのまま飛び上がった。
すごい音がしたのにまだすやすや寝ているジロー先輩マジすごい。

「くっふぅ。いつの間に寝てしまったんだ……私っ」

なんとかずりずりとちゃぶ台の下から這い出ることに成功した。
未だジロー先輩は夢の中である。

記憶を辿れば、リンゴジュースを飲んでいたはずのジロー先輩が、いつの間にか寝ていたという場面を思い出した。
パンダクッションを抱きしめながら、もぞもぞとちゃぶ台の下に入り込み丸くなったので、慌てて起こそうと私もちゃぶ台の下に潜り込み、ゆさゆさとジロー先輩を揺さぶった。
そしたら「うるさい〜」とむにゃむにゃ言いながら、ジロー先輩が私の鼻にパンチしてきたので、それを避けようとしたわけである。華麗に。そう華麗に。


「…………勢い良く避けたつもりが、ちゃぶ台に後頭部を強打した……と」

通りでじんじんとする痛みが二カ所のわけだ。私、昨日よりアホになったんじゃなかろうか。後頭部二カ所強打したんだから。


「……そんなことより、いい加減起きてください!ジロー先輩っ!大変ですってばっ」

朝です、朝なんです。学校に登校しなきゃいけない上、お風呂も入ってないというか下着も着替えてない状態で。
否、それよりもジロー先輩のご家族心配していますよね?!

「そして洗濯物ぉっ!」

いい加減取り込まなきゃと独り言全開で、あわあわとベランダから洗濯物を取り込んだら、やっと目覚められたのかジロー先輩がむくりと体勢を起こしていた。

「おはようございます、ジロー先輩っ!そして大変ですがっ」

「……んあ〜、おはよ〜。大丈夫だCー……それよりも詩織ちゃんの下着、パンダ柄じゃないんだねぇ〜……」

「ぎゃあっ」

抱えた洗濯物から、私のブラを摘んだジロー先輩は昨日と打って変わって悪魔のようだった。
まだ寝ぼけているんだろうが、セクハラである。天使の顔したセクハラ小僧である。

「……俺、よく跡部んちで寝ちゃうことも多いからぁー、母さんたちなら大丈夫だC〜」

「ジロー先輩の将来が限りなく心配です」

慣れてるーと笑うジロー先輩にため息をついたら「ため息ついたら幸せ逃げちゃうよぉ〜」とまた笑われて、一体誰のせいなのかと問いただしたい気持ちになったが、時間があれだったので、とりあえず朝食にすることにしたのだった。

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