増えているぞ
──丸井の様子がおかしいことは、明々白々、一目瞭然だった。

「……ジャッカル、何か知らないのか」

「え!い、いや、俺は特に何も聞いていないぜ?!」

不意に俺が背後から声をかけたからか、校門前で丸井と別れたところのジャッカルはビクンっと驚いたように身体を跳ねさせていた。
否、そのあからさまな目線の外し方は焦りからだろう。

「……何か知っている確率78パーセント」

「……っ」

ジャッカルの褐色の肌にうっすらと玉の汗が浮かんできていた。間違いなく冷や汗だ。

「フッ。図星か。……ジャッカル、俺に嘘を突き通せると思うか?」

カッと目を見開けば、ジャッカルは小さく悲鳴を上げながら白状したのだった。





「……ふむ、これは計算外だった」

窓側の隅のテーブル席から様子を窺っていた俺は、ぽつりと小さく漏らす。
その呟きを拾ってジャッカルが深いため息を吐き出した。

「なぁ、ブン太に怒られんのは俺なんだって!」

「まぁ落ち着け。予想外の青学三人の登場で機を逃してしまっただけだ」

紅茶を一口飲んでから、この店に入った時からオロオロしているジャッカルを落ち着かせるように言葉を紡ぐ。

わざわざ神奈川から東京にまで出てきたのは、こっそりと尾行するためだけではないのだ。

ジャッカルから丸井の様子が変なのは、夢野とケーキバイキングに行くことになったからだと部活終わりに打ち明けられたらしいということを聞き出した。
他のみんなには黙っていて欲しいと言っていたのを見て、てっきり夢野と二人っきりなのだろうと考えたらしい。俺もそう結論づけた。
だがそれは違った。否、丸井自身も想定外だったようだが。

そして今、彼らはまた想定外の三人を加えることになったようだ。



「……ねぇ。あそこの人たち、一緒に来たわけじゃないんッスか?」

「…………げ」

どうにか印象強い面白味のある登場はできないかと思案している内に、越前と目が合い、指をさされたのだった。
見る見るうちに顔色を変えた丸井に、ジャッカルは苦悩の表情で頭を抱えていた。

……ジャッカルには、悪いことをしてしまったようである。
すまない、と小さく謝っておいた。

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