実は返答に悩んだ
──結局、色んな人とメールのやり取りをしていたせいで、肝心な千石さんへのお返事メールを送ることを忘れていた。
慌てて返したのは、県大会の次の日の放課後である。

無事に千石さんへのメールを送れたと一息つき、屋上に上がってヴァイオリンでも弾こうとしたら、光くんから写メールが送られてきて焦った。
緊張しながら中を見てさらに焦ることになる。
何故なら、謙也さんが着替えをしている後ろ姿の写真だったからだ。

光くんはやはり思考が読めない。この見ているだけで恥ずかしい写真を私にどうしろというのだろうか。
しかもメール文が《これはアカン》だけである。
な、なんだ。
一体光くんは、私の中の何を試しているのだろうか。
そもそもアカンらしい写真を私なんかに送ってくるんじゃない。くそう、なんて返したらいいのだ。何が正解なんだ。

散々悩んだ挙げ句、私は取りあえず普通の感想を送ることをにした。
アカンと言われる部分がわからないが、謙也さんがはいているパンツは派手だ。
パンツ以外がヌード的なあれなので、直視できないが、取りあえずパンツは派手だ。


《ツッコミがボケになっとるんはさすがやな》

ツッコミもボケもしたつもりがない。
光くんは本当に私に何を求めているのだろうか。

光くんが読めないので、諦めてヴァイオリンを手にすれば、また携帯電話がチカチカと着信を知らせてきた。

今度は流夏ちゃんからのメールである。

《陸上部、山吹中に合同練習に来てるんだけど。オレンジに近い明るい茶髪頭の変態がいた。よもや違うとは思うけど、あれが詩織のいう知り合いじゃないよね?》

「………………」


《千石さん、本日立海の女子に蹴られませんでしたか》
《え?!な、なんで知ってるんだい?!》
《……軟派もほどほどにしましょう》

千石さんからケーキバイキングに誘われたのを流夏ちゃんが知ったら、きっとすごい剣幕で怒ってくるだろうなと思った日だった。

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