匂いフェチ確定
──いつものように練習を始めよう思い、部室の扉を開けたら、何故か謙也と財前が取っ組み合いをしとった。

その二人を眺めている千歳が部室の端におったから声をかけてみる。

「……どないしたん」

「あー、なんね、光が謙也の恥ずかしい写真ば撮って、夢野さんに送ったとね」

「恥ずかしいレベルちゃうねんっ!こいつ、俺の半ケツ写真メールで送りやがったんや!あかん、もう死んだ!完全に嫌われた!」

「せやから、謙也さんは別に初めから好かれてないっすわ。安心してください」

「ぉうあー!財前っ」

ガクガクと謙也が涙目で財前の首を絞めながら左右に振るが、財前は至って無表情にカクンカクンと揺れていた。
……つか、なんで謙也は半ケツ写真なんか撮られよったんやろうか。そっちの方が気になるわ。まぁどうせ阿呆な理由やねんやろうけど。

「……、あ。詩織から返事っすわ」

「な、なな、うわぁ、白石ぃーっ」

「ちょ、謙也こっちくんな。鼻水つくやろ」

ニヤリと笑った財前に顔を真っ赤にして謙也が悲鳴を上げた。上げるだけならまだいいが、俺に泣きついてきたのでたまったもんやない。

「……で、どげん返事きたとねー」

「……これっすわ」

《謙也さん、派手なトランクスはいてるんだね。流石関西人》

「「つっこむとこそこかーいっ!!」」

思わず謙也と同じツッコミをいれてしもうた。と、同時に部室の戸が開いて小春とユウジが入ってくる。

「……この香り」

不意に漂ってきた優しい香りにピクリと反応した。俺の呟きに驚いたように小春が目を見開く。

「夢野さんの香りや、これ」

「……な、なんでわかんの?!蔵クン、ちょっと怖いで?昨日、光くんに詩織ちゃんがどのシャンプー使ってるんか聞いてもらったんよ」

「小春ぅー、浮気かぁーっ?!」

「ユウくん、さっきええ香りや言うとったやろ」

「ぐっ」

小春にぺしりっと額を叩かれて押し黙ったユウジを眺めながら、俺はうんうんと首を縦に振る。

「そうか、それで同じ香りなんか……。んんっ、エクスタシー」



「……変態ばい」
「しっ。千歳くん、思ってても口に出しちゃダメやで」
「せやけど、小春、ここまでいくとあかんやろ」
「俺の写メとかどうでもよくなるレベルやな」
「……それはないと思いますけど、一応詩織にメールはしときますわ。《白石部長には近づかん方がええって。匂いで絶頂迎える変態やから》……っと」

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