体質?
──詩織センパイって本当によくわからない。

ヴァイオリン馬鹿のくせに、なんでこうも色々なテニス部のヤツら(しかもそこそこ強いヤツらだから笑えるよね)と知り合いなんだろう。

ダブルス2の河村先輩と不二先輩の試合を見ながら、チラリとフェンス向こうにいる詩織センパイを盗み見る。
さっき、桃先輩も海堂先輩も詩織センパイは理解できないヤツみたいに呆れてた。俺もそう思う。

「……体質?」

ぽつりと、自分自身おかしなことを口にしたと思って、つい笑ってしまった。
意外と河村先輩たちが苦戦しているせいか、乾先輩にもバレなかったようだ。

その後すぐに、不二先輩が流れを変えるようにトリプルカウンターの内の一つ、つばめ返しを披露してくれて場の空気は完全に変わった。
俺自身の意識も不二先輩へと集中する。

……やっぱ、この間の合宿中も本気じゃなかったんだ。

「あれが、キサマより先に俺のフィニッシュスネイクを返した技だ」

「……へぇ」

海堂先輩の言葉に、今度は隠さずにニヤリと口角を上げて笑ったのだった。

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