面白い縁
「……そうか。元々深司の知り合いで、神尾と石田は最近会ったのか」

「はい。彼女、深司を探しにうちの学校にまで来てたんで……」

「……ほう。なら、深司も今日は気分がいいだろう」

先週、杏と観に行った和太鼓コンサートのことを思い出しながら俺が頷けば石田は微妙な顔をした。隣の神尾も苦笑している。

「……深司ならさっきからぼやき始めてるッスよ……ほら、あの馬鹿──否、夢野が青学側の見学席にいるんで……」

神尾の台詞通り、確かにあの奇跡の少女──夢野詩織は青学側フェンスの前に立っていた。

……そうか。
話を聞く限り、深司と仲がいいのかと思っていたが、どうやら青学とも仲がいいらしい。
神尾の話では彼女は本来氷帝生のようだから、氷帝の試合よりも青学を優先している時点で、何か特別なヤツが青学にいるのかもしれないな。

「……深司、そう落ち込むな」

「…………え、橘さん、何言って……やだな、別に詩織のことで気落ちなんかしてないんだけど……あぁ、もう……アイツが青学の応援なんかしてるから悪いんだよな……そのせいで、橘さんに失恋したみたいな勘違いされてるんだよなぁ……なんだよ、詩織のやつ、大体俺の試合見にきたいとか言ってたくせに……嫌になるなぁ、ホント……」

フォローをしたつもりだったが、何かを間違えたようだった。

とりあえず、大事な決勝戦が始まる。
気を取り直すように大きく咳払いをしてから、ダブルス2の石田と桜井を見つめたのだった。

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