チャットルームから退室するボタンをクリックしながら吐き出す。
Eveと詩織のやり取りが異様なほど、癪に障った。なんでここまでイライラするんかは自分でもわからへんが、どうも悔しいようなそんな感情が揺れとる。……理解不能やわ。
「光ぅ!作曲終わったん?」
「……見るからに不機嫌そうやのに、さすが金ちゃん。声かけるとは勇者や」
パソコンデスクから席を立った俺に明るく笑いかけてきた金ちゃんに、そんな台詞を吐いた部長にイラッとした。
「で。なんなんっすか。こんな大勢で部屋にまで押しかけてきて……ほんま迷惑なんですけど」
「せやかて、居留守使ったん財前やんけ!」
「居留守やわかった時点で空気読んで帰ってください。謙也さんらは、なんでそないな簡単なことができひんのですか。……つかさっきから、そこのホモップルは何しとるや。人のアルバム見んといて欲しいんですけど」
謙也くんを睨んでいた視線をそのままホモップルに向ける。
……あかん、なんでこうキモいんやろ。人の家でいちゃつくなや。
「小春を睨むなや!死なすど!つか何イライラしとんねんっ」
「ユウジの言うとおりやで?財前、毛逆立ててる猫みたいやぞ」
ユウジ先輩と部長の台詞にハァッと軽くため息を吐き出す。
イライラしてる原因は主に二つ。
一つは、詩織のアホがEveにわざわざ会いに行ったこと。
もう一つは、居留守使ったにも関わらず、昼間の部活でも顔を見合わせたはずの一部のメンバーが夕食後に家にまで押しかけてきたことだ。
「なぁなぁ光!このゲームやってえぇ?」
「お。金ちゃん、ええもん見つけたな!俺これ得意やったわ」
「ほんまか、白石?!なら、この俺と勝負せぇっちゅー話や!」
「ユウくん、見てみてー!このちっちゃい光くん、可愛えぇわぁ☆」
「浮気か!……っと、ほんまや。生意気な顔やない財前は新鮮やな」
「…………すんません、あんたら全員死ぬほどうざいっすわ」
結局、全員一晩泊まりやがった。
……みんな禿散らかればえぇねん。
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