友達という言葉が沁みる夜
──跡部様たちとまで夕食を共にしてしまった。
だが割り箸で豚カツを食べてる跡部様はなんだかシュールだった。なんというか割り箸と庶民的なソースがかかっただけのシンプルな豚カツが似合わない人を生まれて初めて目撃したよ。
あぁ、面白かった。


それから真田さんたちと別れ、跡部様の運転手さん付きロールスロイスにて送っていただいて無事に帰宅したのである。
高級車に乗るのは、榊おじさんで慣れてはいるが、跡部様と樺地くんと三人というのがかなり緊張した。なぜか二人ともだんまりだったのである。否、樺地くんは通常運転でしたけども。


そして私は只今、柳さんを皮切りに立海の人たちにメールをしている。
あ、青学の乾さんにもきちんとメールを送ってみた。
急に心変わりというわけではないのだが、本日会った柳さんがすごく怒っているような気がしたのと、確かにこのまま放置では失礼かもしれないと気づいたのである。

「だがしかしこれは困った!」

独り言を大声で叫んだのは、先ほどから鳴り止まぬ携帯電話に対してである。
一人にメールを返したらまた違う人からメールがくるのだ。
まぁ一番メールの数がすごいのは、文面から不機嫌具合が窺える流夏ちゃんなんですがね!

次にメールがすごいのは《アホ》とか《クソクソ詩織のチビ》とか悪口ばかり送ってくる岳人先輩と、《てめぇ、なんでもっと早くメール送ってこないんだよぃ!遅れた罰としてケーキバイキング奢れ》とか《この天才的な丸井ブン太様に新作のコンビニ菓子買ってこい》とか送ってきてこれは最早下僕扱いじゃないのと思われる丸井さんである。
どうでもいいが、もうこの二人に返信しなくていいような気がしてきた。うん。《プリっ》とか《ピヨッ》とか意味分からないメール送ってくる仁王さん共々無視しよう。

ちなみに何故岳人先輩からメールがくるのかは、今日の夕食時に氷帝レギュラーの皆様のメールをコンプリートしてしまったからだ。
跡部様のアドレスを手に入れた時は、これをファンクラブの人に売ったらいくらになるんだろうかとも本気で考えてしまったが、よくよく冷静になれば私如きがどうやって跡部様のアドレスを手に入れたかを追求されてしまうかもしれない。
危ない危ない。もう少しで跡部様ファンの人に殴られてしまうところだ。


〜〜♪

そんな時だ。
またメール着信音を鳴らしキラキラとイルミネーションが光った。

誰からだろうとぼんやり手にして目を疑う。

新着メールは二件。


《Eveと財前と今チャット中なんだけど……詩織はネット出来るか?》

《Eveと室町とチャットなう。……今すぐ来てくれへん?理由はわかるやろ》


十次くんと光くんからのそれらに、深司くんと会ったことが伝わった(というか深司くんが言ったっぽい)のか!と瞬時に理解した。

それからすぐにパソコンの電源を入れたのである。

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