心地良い音色
──音楽が聞こえた。

「……んぁ、なーにぃ?」

眠りを妨げられたってわけじゃないんだけど、何故か目が覚めてしまって。

ぼんやりする頭で何だろうと辺りを見回す。

でも、誰もそばにいなかった。

相変わらず無人の屋上で、俺はふぁあっと欠伸を零す。

それから、どこからか聞こえてくる優しい音色に耳を傾けながら伸びをした。

同時に屋上の出入り口の扉が開いて、樺地の姿が視界に入る。

「んー、探しに来てくれたの〜?」

「……ウス」

俺が起きているのに少し驚いたのか、樺地はちょっと面食らったような顔をしてた。

「ありがと〜。今日はちゃんと練習する〜。なんだかEー気分だC〜」

「…………ウス」

おどけて見せた俺に樺地は小さく頷く。

そっと目を細めた樺地は、なんだかこの音の正体を知っているようだった。


んー、なんだか悔C〜!

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