※2011年沖田総悟生誕記念
【'11/07/03 〜 '11/07/08 連載】




 その日、少女は。自分が恋心を抱く青年が、恋に墜ちる瞬間を目の当たりにした。

 幸か不幸か、青年は少し離れたところにいる少女に気づくことはなかった。それまで、少女は青年が自分に好意を寄せていることに胡座をかき、繋ぎ止める努力などしたことがなかったことに思い至ることになる。
 ──胸が苦しい。どうして、彼が微笑みかけるのが私ではないの? そんな風に穏やかに笑う彼を見たことなど一度もない。無防備な、あどけない少年に戻ったかのような笑顔で自分ではない女性に接する姿など、見たくはなかった。

 張り裂けそうな心に堪えきれず。少女の──神楽の蒼眼からは一筋の涙が流れ落ちていったのだった。


*キミに贈る── / 笑顔 / 憧憬 / 言葉 / 激情 / 未来 / さあ、歩き出そう ('11神楽誕『キミにkissを』へ続く)

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