02

「こらっ! ハチ、ちゃんと髪の毛拭きなさい!」



私には、やんちゃな息子がいる。
元気が有り余りすぎる息子・八左ヱ門は、何故か髪の毛が異常に痛んでいる。
それというのも、風呂上がりに髪の毛をきちんと拭かず、髪の毛を大事にしないせいだ。



「えー」
「えー、じゃないの! アンタは只でさえ髪の毛痛んでるんだから、ちゃんと拭かなきゃ駄目でしょう!」



私の説教が嫌なのか、耳を塞いで「あーあー」とわざとらしく言うハチ。
ちょっと本気で殴ろうかと思ったけれど、通報されたらまずいので我慢する。
全く、この子ったら……。
どうすれば落ち着きのあるちゃんとした子になってくれるんだか……。



「かーちゃん、おれ、すきなこできたかも」
「はっ!? え、誰!? お母さんが知ってる子なの!?」
「なーんちゃって! うそだよーっ!」
「っ……コイツァ……!」



初恋だと思って舞い上がったのにッ……!
それなのに、嘘だと!? この野郎!
コイツ、アレだわ。スカート捲りやるウザイ男子みたいになるわ、将来。



「かーちゃん、おれのうそにだまされたーっ!」
「おいハチ、説教するぞ、今から」
「やーだよーっ!」



眉間に皺を寄せてハチを睨むが、こんなことは日常茶飯事のことで。
すっかり私の説教に慣れてしまったらしいハチは、あはははっ、と無邪気に走り出す。
私は私で、捕まえてみっちり説教してやろうと思い、ハチを追いかける。



「こらっ! ハチ!」
「きゃーっ! かーちゃんにおそわれるぅーっ!」
「っばっか! アンタそれ何処で覚えてきたの!? あ!?」
「てれびーっ」
「なんてことっ……!」



まさかテレビの影響だとはっ……。
こんなことなら、ずっとチャンネルをN○Kにしておくんだった。
ああ……、この子の健全な将来を望んでも無駄だな……。



「もうっ! 大人しく説教されな!」
「かーちゃんがうしになったーっ!」
「お黙りっ!」



私に追いかけられているというのに、ハチは無邪気に笑顔を浮かべ、楽しそうに逃げている。
まるで遊んでいるような感じだ。
私はしっかり叱って、正してもらいたいだけなのにっ……。
……でも、ハチの笑顔は、見ているだけ自然と元気が貰える。
無邪気で無垢な、悪意が感じられないだからだろうか。



「つかまえれるものならつかまえてみろーっ!」
「何だとーっ!?」



なんて問題児なんだ、うちの子は。
でも、その無邪気な笑顔に救われることも多々ある。
ハチは、私と夫にとって欠かせない存在なのだ。



(みて、かーちゃん! クモ! by.ハチ)
(ギャーッ! 今すぐ捨てて! 捨ててーっ! by.母)

 
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