01

私には、愛すべき息子が居る。
好奇心旺盛で、ちょっと天然で、お菓子等の甘い食べ物が好きな我が息子、勘右衛門。
特徴的なのが、髪の毛である。
息子の髪の毛は、毛先の何本かの束が丸まっていて、麺類を連想させるような髪の毛をしているのだ。
私も夫もそんな髪型ではないので、髪の毛が生えるにつれて「私、まさか他の人と!?」と疑問に思ってしまったこともある。
だが、そんな事実は本当にないし、DNA鑑定もしてもらったがちゃんと夫と私の子だった。
もしかしたら、私が麺類大好きなのが原因なのかもしれない。



「おかーさーん!」



食器を洗い、我ながら自分の子の髪型が凄い、と改めて実感する。
そんな時、息子である勘ちゃんが私の腰に、ガバッ、と抱きついてきた。
いきなりのことに驚きはしたものの、勘ちゃんはよく抱きついてくるので「ああ、勘ちゃんか」と納得する。



「勘ちゃん、どうしたの?」



そう言いながら、自分よりだいぶ背の低い勘ちゃんを見下ろす。
勘ちゃんは私を見上げている為、自然と上目遣いになっている。
うちの子可愛いっ……!



「あのねー、きょうねー、となりのおばちゃんにねー、かわいいねー、ってほめられたのー!」
「ふふ、そっか。良かったね」
「うんっ!」



舌たらずながらも、一生懸命話してくれる勘ちゃん。
話し終えると「えへへーっ」と嬉しそうに、ふにゃっ、と笑った。
隣に住んでいるおばさんに褒められたことが相当嬉しいようだ。



「あとねあとね! へいすけとね、おとうふたべたの!」
「えー、またー? 最近毎日兵助君とお豆腐食べてるよね」
「だってね、へいすけおとうふすきだから!」



「兵助君がお豆腐が好きだから」
そんな理由で毎日豆腐を食べている勘ちゃんは、阿呆なのか優しいのか……。
でも、普通ならなかなか出来ることじゃないよね。



「勘ちゃんは凄いね」
「ん? なんでー?」



苦笑しながらも、勘ちゃんの頭を撫でる。
私の言葉に、勘ちゃんは首を傾げた。



「毎日お豆腐食べるなんて、お母さんなら飽きちゃって無理だもん」
「そうなのー?」
「うん。でも、勘ちゃんは兵助君の為に一緒に食べてるでしょ? それは、とても凄いことだと思うよ」



私の言葉に、勘ちゃんは意味が分からないのかキョトンとする。
だが、それが褒められているのだと自覚すると、キャッキャッ、と笑顔を浮かべて嬉しがった。



「おれ、すごい?」
「うん、凄いよ。流石お母さんの子だね」
「えへへー」



へらっ、とふんわりした笑顔の勘ちゃん。
そんな我が子にキュンキュンしていると、勘ちゃんが突然私の裾を引っ張った。
「ん?」と首を傾げながら勘ちゃんを見ると、勘ちゃんは悪戯っ子のように、ニッ、と笑った。



「だってね、おかーさん、やさしいひとがすきでしょ?」
「うん」
「――だからね、おれ、おかーさんにふさわしいひとになるように、やさしくなるの!」



そう言う勘ちゃんは得意げで、キュン、としてしまった。
無意識に女をキュンとさせる言葉を言うなんて、勘ちゃんは将来天然タラシになるかもしれないなあ……。



(あっ、おれのかみのけ、なんでかうごくの! by.勘)
(っえ!? 何で!? by.母)

 
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