病気の再発

「足、見せてもらっても良いかい?」
「あ、はい」



医務室に着いた私達。医務室に居るのは6年生の善法寺伊作先輩と、三年生の三反田数馬の二人だけだった。この二人は私の病気のことを知っている為、二人の顔を見たとき安心した。善法寺先輩に言われ、足袋を脱ぎ、裾を上げて足を見せる。足には赤色のような紫色のような斑点模様が少し浮かび上がっていた。



「……この症状、血管性紫斑病だね」



”血管性紫斑病”とは、ビタミンCの不足によって起こる病気のことだ。私自身も詳しくは知らないが、斑点模様が足に浮かび上がることによって、足が機能しなくなり動かせなくなってしまうのだ。この病は、私が忍術学園に入学したての頃にも起こった病だ。治ったと思ったのに、また発病してしまうなんて。



「しばらくは授業を休んで休養すること。それから、ビタミンCを含む食品を必ず三食食べること。歩けるようになってもね」
「……はーい」



また授業に出られなくなる。それに、藤内と一緒に出掛けることも出来ない。



「あの、善法寺先輩。雫の病は、治るんですよね?」
「さっき言ったことを守っていればね」



ニコッと笑う善法寺先輩の言葉に、藤内は安心したように微笑んだ。「藤内」と私が藤内の名を呼ぶと、藤内は「ん?」と優しい表情で私を見た。



「団子、先延ばしになってごめん」
「いいよ。まずは雫が病を治さないと。団子はそれからでも遅くないし」
「……ありがとう」
「うん。あ、お見舞い来てもいいかな? 迷惑じゃない?」
「えっ!! 是非ともお願いします!! 話し相手いないとつまらないし!!」



本気で言った私の言葉に、藤内はおかしそうに笑いながら「じゃあ来るね」と言ってくれた。やった、やったやったやった!! 友達増えるとこういう時すごい嬉しい!!



「雫、私のことも忘れないでね」
「忘れないよ!! 秋もお見舞い来てね!! 絶対だよ!!」
「はいはい。あ、でも、くのたまは明日から七日間野外実習でいないよ」
「…………うそん」



秋が居ないなんて、そんな馬鹿な。っていうか、明日から野外実習だっけ? ……寝てたからシナ先生の話聞いてなかったや。



「あ、そうだ。このこと雪郷にも話しといた方が良いよね」
「え」
「後で言っておかなきゃ」



そう言いながら、せっせと薬草をゴリゴリして汁状にしていく善法寺先輩。ちょ、待ってくださいよ善法寺先輩!! それは困りますって!! 青ざめる私に気づいたのか、「ちゃんと言うからね」と善法寺先輩が言う。秋にも「雫、諦めなよ。いずれは分かっちゃうことだろうし」と言われてしまった。二人は微笑んでいるが、私は口を引き攣らせながら汗をダラダラと流す。これは、また一年生のときの地獄が再来してしまうではないか。……でも、病気のことで藤内に嫌われなくて良かった。

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