ちょっとしたお話

「「ただいまー」」
「あ、おかえr……」
「お、おおお前等っ……!!?」



団子を食べ、告白され、恋仲になって、二人で手を繋いだまま帰った。小松田さんには「仲良いねえ」で済まされたけれど、秋や富松君には驚かれた。私と藤内は顔を見合わせ、繋いだ手を二人に見せる。



「俺達、」
「付き合うことになりましたーっ」



笑みを浮かべた私と藤内。秋は「ついに!!」と嬉しそうに笑い、富松君は驚いたまま「よ、良かったな」と言ってくれた。



「仲良いとは思ってたけど、付き合うことになるとはなァ」
「あ、雫のこと狙ったら許さないから」
「誰も狙わねぇよ」
「それはそれで複雑」
「……お前大丈夫か……?」



ニコニコ笑う藤内と、呆れる富松君。二人の会話を聞くだけで、顔が熱くなる。藤内ってば、そんな気軽に惚気ないでよ、恥ずかしい。と、その時、どこからか、ドドドドドッ!!!、という音が聞こえた。四人で音のした方を見ると、物凄い恐い形相をした兄さんが、こっちに向かって走ってきていた。そして、私達の目の前に来ると、キキィーッ!!、と止まる。



「雫ッ!!」
「な、何?」
「お前、今”付き合うことになった”って言わなかった!!? え、誰と!!?」



え、何この人。どんだけ地獄耳なの。軽く引いていると、兄さんの視線が、私と藤内の手へと向いた。その瞬間、兄さんの顔が青ざめていく。



「と、ととと、藤内、と……?」
「あ、うん」



素直に答えると、兄さんは「じゃあこの前会った時は付き合ってなかったってことか……!!?」と悔しそうに呟いた。そして、藤内へと顔を向ける。藤内は兄さんに顔を向けられたことに少し驚いた。



「藤内、」
「は、はいっ」
「妹を、宜しく頼む」
「っ!! はいっ、任せてください!!」



兄さんの言葉に、藤内は驚きはしたが、元気に答えた。そのことに、私の顔は先程よりも赤みを帯びて行く。……そんなにハッキリ言われると、私が照れる。チラッと藤内を見ると、藤内も赤くなりながら私を見ていた。



「……守る、から」
「う、うん」



私の彼氏さん、太陽のように眩しくてかっこいいです。

≪完≫

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