実ったお互いの、

「あ、雫」
「ごめん、遅れちゃった」
「良いよ。行こっか」
「うん」



私も藤内も私服。藤内の私服を見るのは初めてで、ただ制服から私服に変わっただけだというのに、こんなにも意識している。藤内と合流したところで、小松田さんに手渡された出門票に名前を書き、忍術学園を出た。




 ***




「あっ、本当に美味しい!!」
「だね。さすがは立花先輩のお墨付きの店だなあ」



もしかしたら、この店の団子が一番美味しい団子屋さんかもしれない。顔もどういう人物か知らないけれど、立花先輩、さすがです。会ったことすらないけれど。「藤内、ありがとね」と藤内の顔を見ずにお礼を言うと、「ん? 急にどうしたの?」と聞かれる。



「んふふ、なんとなくー」
「えー? 言ってよ」
「やだよ、恥ずかしい」
「恥ずかしいことなの?」



ニヤニヤしながら私を見る藤内。私も負けじと、にひひっと笑う。すると、急に藤内が真面目な顔になった。そのことに内心驚く。



「俺のほうこそ、ありがとう。雫と出会えて、本当に嬉しい」
「……お、おう、恥ずかしいですなあ……」
「――ふざけないで聞いて」



あまりにも真面目な声の藤内。私は戸惑って、唖然としながら藤内を見る。それは、今まで私と藤内が作ってきた雰囲気じゃなかった。今まではのほほんとしたギャグ要素有りの雰囲気だったのに、今ではいたって真面目な雰囲気だ。ふざけたら怒られそう。



「俺、女の子と一緒に居てこんなに楽しいと思ったことないんだ」



え、マジで。嬉しい。



「雫と仲良くなって、いつの間にか目で追ってて、一緒に居ればドキドキして……」



……あれ、コレまさかの展開じゃないの? コレってアレだよね? つまりは…――、



「――俺、雫のこと好き」



や、やややややっぱり、告白ですかっ……!!? 藤内の真剣な眼差しと、いきなりの告白に、私の顔はボッ!!と一気に赤くなる。顔も、耳も、手も熱い。思わず藤内から目を逸らす。



「…………ごめん、急に迷惑だったよな」
「あーっ、やっ、その、違う……!!」
「……?」
「え、えっと……!!」



団子を持っている手を、ぎゅっと握る。そして、意を決して藤内を見る。藤内は、私のことを心配そうに見ていた。



「わっ、私、も……、好きで、す……」



意を決して言ったはずなのに、言葉が段々と小さくなる。だが、藤内の顔は私の声が小さくなるにつれ、赤くなっていく。私が言葉を言い終えた瞬間、藤内は口に手を当てて俯いた。



「……藤内……?」
「っ……すっごく嬉しい……」



俯きながらも言われたその言葉。私はその言葉を聞いて、更に顔が赤くなるのを感じた。藤内を見ると、顔は見えなかったが、赤くなった耳が見えた。藤内も、私と同じように赤くなってるんだ。



「雫、これからも宜しく」
「うん、こちらこそ」

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