親友は私の嫁

「雫、ただいま」
「お帰りなさい私のお嫁さんんんん!!!」



ニコッと天使のような微笑みで帰ってきた秋に、私は思わず勢いよくぎゅーっと抱きついた。秋は「あはは、元気だなぁ」とふんわりした言い方で言いながら、私の頭を撫でてくれる。



「そうだ、秋!! 見て見て!! 私立てるようになったんだよ!!」
「オメェは赤ん坊か」
「なんだと富松」



ギッ!と睨むと、富松君は「つーん」とそっぽを向いた。まあ、いいや。私は秋に向き直り、足に力を込めて立ち上がる。「じゃーんっ!!」と言うと、「おおっ!! 凄い!! ちゃんと立ってる!!」と、まるで自分のことのように喜ぶ秋。そんな秋に、私は照れくさくなって「いやあ、あはは」と照れてしまう。デレデレしていると藤内に「気持ち悪い」と言われてしまった。……どうしてこうも、忍たま達は私の扱いが酷いのか。



「コレ頑張れば歩けるんちゃうのん? イケるんちゃうのん?」
「えっ、歩けるの?」
「一昨日は無理だったけど、頑張ってみる!!」



二日経てば何か変わっているはずさ……!! そう思いながら、すぅ、と軽く息を吸う。そして、意を決して足を動かす。一歩、また一歩、またまた一歩、足を次々と前に出して歩き出す。少し足が重くて歩きづらいけれど、歩けないことはない。一昨日より歩けるようになっている。



「うん、その様子だと歩いて良さそうだね」
「っ本当ですか!!?」
「でも、授業はまだ出ちゃ駄目だよ」



授業に出れなくたって良い。自由に歩ければ、それだけで私は嬉しい。嬉しさで笑みを浮かべながら秋を見ると、秋も嬉しそうに笑みを浮かべて私を見ていた。



「やったー!! これで藤内との約束も果たせるねっ!!」
「あ、覚えてくれてたんだ」
「当たり前じゃん! 私が団子を忘れるわけないでしょっ」



「あくまでも団子か……」と苦笑する藤内。だが、私はそれに気づかず、秋と抱きしめ合った。



「そうと決まれば、今から四人で食堂に行くか。ちょうど夕餉の時間帯だし」
「そうだな。二人共、良い?」
「うん、良いよ」
「バチコーイ」



秋と私の言葉に、藤内と富松君が立ち上がる。それに続き、秋も立ち上がった。善法寺先輩が「行ってらっしゃい」という言葉に、私達四人は「行ってきます」と声を揃えて言い、医務室を出た。食堂で御飯食べるの、久しぶりだなあ。

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