08
前回に引き続き、善法寺伊作です。さて、地に伏せたままの坂田さんですが、頭には大きなタンコブが出来てしまっています。それについては、とある二人の化けm……人物が原因です。その人物とは、二週間ほど前に空から落ちてきて「異世界から来た」と言った不思議な人物達。
「ったく。やっと見つけたと思ったら……」 「何処に居ても変わらずしぶとい女ねぇ……」
呆れたように言う二人の化けもnゲフンゲフン、人物。食堂の空気が冷めた事に気づかずに、二人はため息をついている。
「ってぇーな、これだから化け物は……」 「お前マジで沈めてやろうか」 「その胸を平にして股に棒を付けるわよ」
タンコブのできた頭を擦りながら、眉間に皺を寄せて起き上がる坂田さん。そして、目の前に居る二人の顔をマジマジと見始める。その表情は驚愕のもので、二人が何故いるのか信じられないといった表情だ。
「オイ嘘だろ? 此処に来てまでこの顔を見るたァな。幻覚か? 意外とホームシックだったりすんのかな?」 「幻覚かどうか今ハッキリさせてあげても良いのよ小娘」
まさかとは思うけど……、知り合い? 明らかに困惑している周囲。そんな中、小平太が首を傾げて口を開いた。「お登勢さん、西郷さん、知り合いなんですか?」と言う小平太の言葉に、お登勢さんと西郷さんは坂田さんの顔をジッと見る。そのことに坂田さんは「オイ見んなよ恐ぇから」と言っていたが無視された。
「そうだねぇ。ま、所詮は腐れ縁ってやつよ」 「それから……、同じ異世界人さね」 「「「「え。……えええええ!!?」」」」
え、嘘!!? 坂田さんタソガレドキの武将じゃないの!!? お登勢さんや西郷さんと同じように異世界から来たの!!? 誰もが、バッ、と坂田さんを見る。けれど、坂田さんはそんなこと気にする様子もなく「つーか、ババア共はなんで忍術学園に?」と二人に聞いた。
「居なくなったアンタを探してたら平賀源外に異世界に飛ばされる実験台にされたって聞くじゃないか」 「それで、私達もそのカラクリを使って来たってわけさね」 「……やっぱ私は居なくなったことになってんのか」 「大騒ぎだよ。真選組にも捜索願いを出したし、銀時達は寝ずにアンタを探すし」
呆れ果てたように言うお登勢さん。坂田さんは一瞬驚いた表情を出す。しかし、すぐに嬉しそうに頬を緩めた。そんな坂田さんを見て、「まあ何はともあれ、無事で良かった」「アンタ一人がいなくなって、あんなに大騒ぎになるとはねぇ」と言うお登勢さんと西郷さん。
「……そんなに、大変なことになってんのか」 「歌舞伎町の奴等ほとんどが探しまわってるくらいだ。大変ってどころじゃないさ」 「アンタ、自分が思ってる以上に周りに慕われていることに気づきなさいよ?」
お登勢さんと西郷さんの言葉に、坂田さんがどれほど周りから好かれているかが分かる。坂田さんは嬉しそうに笑ったまま、口を開いた。
「――…わざわざ探しに来てくれて、ありがとな」
心の底から感謝しているような声音。それを聞いたお登勢さんと西郷さんはぶっきらぼうに坂田さんの頭を撫でた。それを見ただけでも、どこか心が暖まる。
(で、他にこっちに来たのって誰なんだ? by.真白) (ああ、そのうち分かるわよ。 by.西郷)
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