09


学園長の部屋に来た。学園長の後ろには、この忍術学園の先生全員。なんだこの居たたまれない空気。何で皆の視線が私に行ってんの? 何で心なしか私の様子伺ってんの? 私何かしましたっけ?



「……あのぉ〜、何で私ここに連れてこられたんスかね……?」
「真白よ、おぬしはひと月程前からタソガレドキに居ったんじゃよな?」
「え? あ、まあ、そうッスけど」
「その頃から、”白羅刹”という異名を持つ者がタソガレドキに居ったそうじゃ」



「何か知っているかの?」と、私に聞く学園長。それはつまり、私が”白羅刹”を知っているの事を分かった上で話しているのだ。このクソジジイ、面倒くせぇやり方しやがって。



「……そう易々と仲間のことを言うはずねぇだろ?」
「……なぁーに、聞いてみたかっただけじゃよ」



怪しく笑う学園長。やっぱり、このジジイは私が”白羅刹”だという事が分かっている。じゃなきゃ、こうやって余裕ぶっていられるはずが無い。私は「降参」とでも言うかのように、深い溜め息をつく。私の行動に、学園長は「待ってました」と言わんばかりに私を見た。



「――…アンタが言う”白羅刹”は……、この私だ」



その言葉に、教師陣が一斉にざわつく。どうやら”白羅刹”は私が思った以上にだいぶ有名のようだ。教師陣が「信じられない」という顔で私を見ている。私は念の為に、「誰にも言うんじゃねぇぞ?」と釘をさす。私の言葉を聞き、学園長は「分かっておる」と笑みを浮かべた。



「本当だな? 言ったらアレだ、毎日嫌がらせしてやるから」
「む、それは勘弁してほしいのう。安心せい、これは儂等だけの秘密にしておく」



なら良いけどよ。もし後日話されたら、本当に嫌がらせしよう。決めたぞ、私は決めた。さて、どんな嫌がらせをしようか今から考えておこう。その時、スパァンッ、と勢いよく障子が開いた。「なんだなんだ」と障子へ視線を向ける。……、ゲッ。



「アネキぃ〜!! お久しぶりですぅ〜!!」



障子の所に居たのは、あの椿平子だった。いやいやいや、おま、なんで居るんだよ。兄さんとか新八とか神楽とか定春とか差し置いて、何でお前が此処で出てくるんだよ。え? 管理人の趣味? 知るかボケェェェェエイ!!!!



「……アネキ、酷いですよ」



泣きそうな表情で、そう言う平子。え、ちょ、待って。何でいきなりシリアスモードに入ってるわけ? 心なしかBGMがシリアスモードで流れる曲になってんだけど。



「アネキもアニキも酷いお人です、本当に……。わたっ、私、なんかの、為にっ、あんな、サプライズっ……!!」



ええええええええ。なに急に泣きだしてんの、この子。お、おい、泣くなって!! サプライズってアレか? 私と兄さんが平子と次郎長を花畑で会わせたアレか?



「二人には、感謝してるんですっ!! だから……、私と決闘せんかいワレェェエエエ!!!!」
「エェェェェエエ!!!?」



いきなり刀抜きやがったんですけどォォオ!!? それ何の感謝!!? 何の感謝でもないよね!!?



「アネキ、立ってください。そして、その腰にぶら下げている物で、私と戦ってください」
「い、いやいやいや!! ちょっと落ち着こうよ平子ちゃあああん!!」
「私からの喧嘩、勿論受け取ってもらえますよね? ア・ネ・キっ」



「うふふ」と笑うが目は笑っていない平子。じょ、冗談じゃねぇよ……。学園長も教師陣もなにも助けてくれねぇしよォ!! 超泣きてぇんだけどォォオ!!!! こ、こうなったら逃げるしかねぇ!! 逃げるが勝ちだ!!



(あっ! 逃げないでくださいよぉ、アネキぃ〜!! by.平子)
(ならその手に持ってる物騒なもん仕舞えッ!! by.真白)



 
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