かわいいままのあのこ






「ね〜、名前さんってさ、五条先生といつから付き合ってんの?」
「ん〜、今の悠仁ぐらいの頃からかな」
「えっまじで!!!??」
「うん、まじまじ」

驚く悠仁に笑って答える。というか、ほんとよく食べるなぁ……材料足りるかな。



書類上は死亡、となっている悠仁に事情を知る私は土鍋とガスコンロを持参し、鍋パーティーをしようと勝手に押しかけたのだ。
悠仁は「やったー!めっちゃくちゃ嬉しい!」と喜んで私を迎えてくれた。いい子だな〜。



2人で鍋を食べていると、悠仁が悟との関係について聞いてきたので、質問に答えていた。


「どっちから?五条先生?」
「そうだねぇ」
「えー!どんなんだったの!?俺、全然想像つかないんだけど!」
「んふふ」


…というか、ぶっちゃけ身体の関係から始まったのでそれは黙っておく。




「悠仁は?好きな子いないの?今とか、前の学校とかさ」
「うーん、俺そういうのあんま無いんだよね。とにかく今は強くなりたいし、五条先生との鍛錬は無茶苦茶きついけど、楽しいからさ!」
「そっかそっか」


悠仁の頭をよしよしと撫でる。悟も悠仁への期待は大きいみたいだし、悠仁はぐんぐんと成長しているんだろう。


「名前さんはさ、五条先生のどこが好きなの?やっぱり顔?」
「あははは!」


再び私と悟の話が戻ってきて、悠仁に悟の顔が好きだと思われていることに笑ってしまった。


「そうだねぇ、ふふ、顔も好きだよ」
「あれ、違った?こないだ伏黒と釘崎と話しててさ、釘崎が、名前さんは先生の顔がいちばん好みだったのよ!って豪語してたから。そうなんだと思ってた」
「あはは、みんなでそんな話してるんだ?」
「うん、あと伏黒は、名前さんは五条先生に騙されてるって言ってた」
「あはははは!」



みんなそんな事考えてるんだ、面白いなぁ。



「結局、名前さんは五条先生のどこがいちばん好きなの?」
「………うーん、なんだろ?そうだなぁ、可愛いところかな」
「可愛い!?強いとか、かっこいいじゃなくて?」
「ふふ、そこも好きだけど、そうだね、可愛いところ」


驚く悠仁に笑って答える。
そう、悟は結構可愛いのだ。私よりも可愛いところが断然多いと思っている。









先週、仕事から帰ってきた悟は、ソファーに座っている私を見つけると「名前〜〜疲れたから癒して!」と、目隠しを外しテーブルに投げると、私の腰に抱きつく様に膝枕の体勢をとった。動けなくなった私は、そっと悟の頭を撫でていたが、もう眠るかな、と悟の頭から手を離そうとする瞬間、悟の手が私の手を掴む。


「やめないで、…もっとして」


ぐっ、…と息が詰まるぐらい、キュンとしてしまったのだ。ちなみにそのあと、悟が起きるまで頭を撫で続けてしまった。








さらにまた別の日、お昼ごはんに好きなパン屋さんへ出向き、ついつい大量購入して高専に戻ると、偶然七海くんと出会ったので、おすすめのパンをいくつか差し出すと「…こんなにいいんですか?」と、遠慮する七海くんに押し付けるようにしてパンを手渡した。
その晩、悟はどこから聞いたのか「お昼に七海に会って、パンあげたんだって?僕のは?ねえ〜名前〜」と子どものように言ってくる悟に、笑いながら「悟が好きなのも買ってるよ」と伝えると、「もー!名前大好き!」と強く抱きしめられた。昔の悟では考えられない程の素直さが、くすぐったくて可愛いのだ。









そして、これはよくあるんだけど、



「名前、好きって言って?」
「…ンッ、んん…」
「だめ、言わないと挿れないよ。ねえ名前、ほら、言って」
「ぁっ、…あっん、………す、っき、ひ、ぁあ!あっ、すき、好きだよ、さとる、」
「はぁ、可愛い、僕も大好き」



というような感じで、悟は私からの「好き」という言葉を強請る。因みにそれが可愛くて悟から催促されるまでは言わないようにしているのである。





−−−


「可愛いか〜………全ッッッ然想像つかねー!」
「んふふっ」
「あっ名前さん今、思い出し笑いしたでしょ」
「ん〜?してないしてない、んふ」
「絶対した!ねぇ、可愛いって何?どういうの?」
「え〜、と、それは「僕はどっからどう見てもナイスガイでキュートでしょ!」っ、悟!」
「先生!いつから居たの!?」



いきなり悟が現れて驚いた。聞かれてたかな。
ほんと、いつから居たんだろう。





「2人で鍋ってずるくない?僕も呼んでよ!」
「だって先生いなかったし!ねっ名前さん」
「ね〜」
「こらこら、だめだよ名前は。えっ、なに、全然残ってないじゃん!」
「だって先生来るの知らんかったし!ねっ名前さん」
「ね〜」
「名前は帰ったらお仕置きね」



え!何で私だけ!?






その後悠仁に別れを告げて家に帰ると、悟にニヤニヤしながら「名前ってば〜僕の事が大好きなんだねぇ〜」と言われた。
うっ!やっぱり聞かれていたか…と恥ずかしさから目を逸らす私であった。






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