アイ・ラブ・ユーは
舌先で苦い*






大きな革張りのソファーとガラステーブルの間に座り、目の前に置かれたプレゼントを凝視する。綺麗な箱に入れられた、30粒の宝石のようなチョコレート。それぞれがポケットに入っていて、その下には一つ一つの味が記されている。色や形もバラバラで、どれを食べたらいいのか分からずに中々手が伸ばせない。
後ろからクスクスと笑い声が聞こえる。この素敵なプレゼントの送り主は、私を長い脚で挟むようにして、後ろのソファーに座っている。

「どれでもいいんだよ。これは?モンブラン。名前好きでしょ」
「…でも、悟も好きでしょ?」
「これは僕からのプレゼントなんだから、名前が全部食べていいんだよ」

悟は笑いながら、優しく私の頭を撫でる。明日は2月14日、バレンタインデーだ。悟とのお付き合いが始まった学生時代から今日まで、バレンタインデーに合わせてチョコレートを貰ったのは初めてだ。
私は毎年違うお店のチョコレートケーキを悟に渡していて、今年も最近できたという話題の洋菓子店のガトーショコラを渡すつもりで冷蔵庫に入れてある。悟も毎年ホワイトデーにお返しをくれるのだが、私が渡したものと値段に見合わないものを贈ってくれるのだ。金額は私<<<<<悟、である。




「ありがとう悟。…でも何でバレンタインなの?いつもホワイトデーにお返ししてくれるのに…」
「だって名前、毎年僕がお返しする度に、こんなの貰えない!って言うでしょ?だから今年は、バレンタインデーに名前と同じようにチョコレートをお返ししようと思ってさ。そしたら素直にもらってくれるでしょ?」
なのに名前ってばまだ遠慮するんだもん、と私を自分の方に引き寄せながら、悟はまた笑う。

「ほら、あーん」

悟は右手を伸ばし、薄いブラウンと白がマーブルされた球体形のチョコレートを摘んで、左手で私の顎と唇に触れて口を開くように促す。
悟のされるがままに、モンブランと記された宝石のようなチョコレートを口に入れると甘さが広がる。

「ん〜〜〜!すご!美味しい…!」
「ほんと?…ね、やっぱり僕も食べたい」
そう言うと左手で私の顔をあげ、そのまま悟の綺麗な顔が目の前にくる。



「ん、ぁ」
深く口づけされて、味わっていたものを口の中でぐちゃぐちゃにされる。悟の舌が自身のものと絡まり、あっという間にモンブラン味のチョコレートが無くなった。


「ほんとだ、美味しいね。…名前、こっちにおいで」
私の両脇を持って身体を持ち上げ、ソファーに座る悟の膝上に対面向きで座らされる。

「次は〜…これにしようかな。味、当ててみてよ」

悟は真っ赤なハートの形をしたチョコレートを口に咥えて、そのまま私に唇を寄せる。
互いの唇が合わさる瞬間、悟がチョコレートを噛んで私の口内に舌ごとそれを入れ、ほろ苦い味と共に快感を得る。気持ちが良くて複雑な味がわからない。

「…ふ、ぅん、っは、ァ」
「ど?何味か分かった?」と、余裕そうなニヤけ顔で聞いてくる悟にムッとして、悟の下唇をガジッと噛んでやる。




「っ、こら。…そんな事して、誘ってる?ねえ名前」
「んっ、……ゃ、んん…ッ」

深く口づけをされた後、左側の耳たぶを柔く噛まれ、首筋をきつく吸われ、またキスをされる。その間に悟の右手が私の服の中に入り、背中にあるブラのホックを器用に外した。急な解放感に心が落ち着かないままに、悟の右手はそのまま私の左胸にたどり着き、大きな手が優しく胸を揉み突起を摘む。

「…気持ちいい?」
「ハァ、……ッあ!ん…!」
「名前、これ持ってて」

服とブラを一緒に持ち上げ、私に両手でそれを持つように促す。自ら胸を触ってほしくて晒しているような格好に恥ずかしくなるが、悟はそれを理解しているのか、笑いながら私の頬を撫でた後、乳首に唇を寄せる。

「ぁ、ん、ん…ッ!…ぃあ!ゃっあ、」
「んー?やなの?…でもほら、腰揺れてるよ?」

乳首をきつく吸われた後甘く噛まれて、行為を催促するように腰が揺れてしまう。私の腰を撫でていた手が、スウェットの中へと入り、下着の上からお尻を這う様にして動いていく。


「ぁ、ぁっ、ん、……悟、んんっ」
「ん?」
「…も、ゃ…だぁ………」
「何が?…言わないとずっとこのまま」


「…ほら名前、どうしてほしいか言って?」と、焦らされる様に、乳首の周りに赤い痕を残しながらお尻をふにふにと揉まれるが足りない。こうなると、悟の要求を叶えなければ次の刺激が来ないのだ。



「っ、ぅ、………さわっ…て悟、おねがい…」
「ふふ、どこを?言わなきゃ分かんないよ。ほら、どこ触ってほしいの?」

恥ずかしくてはっきりと言えない私に、悟がもっと羞恥を与えてくる。こうなれば最早勢いでいくしかないのだ。
ひそかに決心をした私は悟の右手を取り、自身の下着の中に悟の手のひらを入れていく。恥ずかしくて悟の顔が見られず、抱きついて悟の左耳に口を寄せる。
「っ、さわっ、て、お願い」






「………っはは、お前ほんと堪んない」
名前、と名前を呼んだあと、軽く下唇に吸い付く様なキスをして、クリトリスをくるくると撫でる。
「んっぁアッ、あっぁっ」
「びしょびしょ……すごい、ね。気持ちいい?」
「んっんぅ」
悟の首に手を回し、頷いて答える。

「だめ、ほらちゃんと言って。…やめていいの?」
「ぁあっん、やっ、ゃ、だ!」
「言って、名前」
「あっあっ、ゃ、き、もちぃ、!気持ち…いい、んっ、ぁっああッ!」

気持ちいいと口に出して言えば、悟の指が急に中に入って強い快感が押し寄せる。悟に教え込まれた気持ちのいい部分をしつこく責められると、もうなし崩しだ。

「あっあっあっん、んぁ!っィく、ゃ、ぁあ、っ!………は、はっ、ぁ…ァアッ!やっ、ぁ、待って、イっ、た!ァッ!だめぇ、ゃ、さ、とるっ、んっ、んん」

1度イッたすぐ後にクリトリスも一緒に刺激される。だめ、やめて、と伝えても悟はやめてくれない。強い快感に首を左右に振ってしまうが、催促する様な甘い声が自分の口から勝手に出てくる。


「あっあっ!やっ、…ん!んん、…ッ!」



下は指でクリトリスと中を責められ、上は後頭部を押さえられ激しくキスをする。気持ちが良くてまたすぐにイッてしまう。何度か痙攣して、やっと唇が離れた。







「…名前、挿れていい?」
「ん…」

頷くと、悟はガラステーブルの下に手を伸ばしてゴムを取り、自身につけて私の腰を掴んで下へと降ろしていく。



「…ふ、ぁ……!」
「っ、…痛くない?」
「ん、ぅんっ、ぁっ、んっ!」
「…は、きもち、ね」
悟にお尻を持ち上げられ、身体を上下に揺らす。深いところが気持ちよくて止まらない。

「あ、あ……っん」
「可愛い。………ね、キスしたい」
悟のモノが中に入ったまま、悟の腰に脚を巻き付けるようにして座ると、ちゅ、ちゅ、と啄むようなキスを繰り返す。

「んっ、」
我慢が出来ず腰が前後に揺れてしまう、それに気付いた悟が手伝うように私の腰を持って、深く中へと当てていく。

「んっ!…ァアッ!」
「は、っ、名前、ここ?」
「んんっ、んっ、ぅう」
「んー?」




下から打ちつけられる腰に強い快感が押し寄せる。悟の首に腕を回し、しがみついて快感から逃れようとしてしまう私に悟の腰が深く早くなっていく。


「っ、ひっ、んん!んっあ、ぁん!」
「名前、ほら、なんて言うの」
「あっ、んっん、ん」




何度身体を合わせても、慣れないと毎回思う。悟の首元に顔を寄せ、声を押し殺す様に気持ちいい波に耐えていくだけで必死なのだ。悟に聞かれた事をちゃんと返せずにいると、全てを分かっている様に何度も催促される。


「っほら、名前、」
「うあ!ああっ!やっやっ、ぁあっ」
「名前、どこがいいの?」
「んんっ、んんぅ、」


悟は言いながら深く繋がったままのそこへ手を伸ばし、先端をぐりぐりと嬲る。気持ちよさと羞恥から逃れる様に首を振るが、悟は許してくれない。答えるまでずっと刺激を与えながら焦らされるのだ。




「やっやぁ!ぁっ、あっ、あっ」
「名前、言わないとイけないでしょ、ほら」
「ぁ、っ、な、か」
「…ナカの?どこ?」
「あっあっ、待って、」
「待たない、ほらどこ?……っ、言えよ、」
「ん、っぉく、ぅあっ!あ!ぁあっ、ん、お、く!きもち、ぅ、い、も、さとる…!」
「っ、」



前髪を上げられ、唇に触れるだけのキスをする。
「いいこ、」と言って笑った悟が、ガツガツと腰を打ち奥を責める。


「っ、は、きもちい」
「んっ、んんっ、ぁあ!も、っい、く!」
「名前、した、だして」
「ぇ、んん、んっ、ふ、っ!」
「っ、ハァ、っ、すき、名前、すきだよ、ねえ、」
「ぁあっ!ん!ぅ、ん!んっ、いく、ひっ、ぃくぅ、んん!」



受ける快感すべてが気持ちいい。絶頂に達しても止まらない悟に待ったをかけても聞いてもらえず、触れなくてもわかるくらい上も下もぐちゃぐちゃだ。深く、奥へ奥へとあたる度に、ぱちゃぱちゃと卑猥な音が鳴り止まない。



「っ、ぁあ!」
「は、っく、イ、くよ、」
「ん、んん、あっぅ、あっあっ」







−−−


「……名前」
「…ん?」

悟は1度、私は何度目かの絶頂をともに超えると、モノはまだ中に入ったまま、私も悟に寄りかかったままだが、呼吸も快感も一先ず落ち着いた。
名前を呼ばれて悟の方に顔を向けると、ちゅ、と可愛いキスをされる。



「それで?」
「?、なにが?」
「ハートのチョコ、何味かわかった?」

………あ、そういえばそうだった。
すっかり忘れられた、残り28粒の宝石達をチラッと見て少し考える。




「…………分からない、から、もっかい」

言いながら、笑う悟にキスを返した。






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