A requiem to give to you
- 崩落編 -

【第77音番外】


ティア:ねぇ、レジウィーダ

レジウィーダ:あ、ティアちゃん。どうしたの?

ティア:少し、気になる事があって

レジウィーダ:あー………ウチのお兄ちゃんの事、だよね

ティア:え、ええ………あ、でも答えたくなかったら無理に答えなくても良いのよ

レジウィーダ:いや、別に構わないよ。フィーナさんが言ってた事は事実だからさ

ティア:じゃあ、本当に……?

レジウィーダ:うん、あたしは自分の手で兄を刺したよ

ティア:前にレジウィーダが歌っていた曲を作った人、よね?

レジウィーダ:すごいね、そこまでわかるんだ!

ティア:何となくそう思っただけよ。……それで、その

レジウィーダ:兄を刺した理由が聞きたい?

ティア:……………ええ

レジウィーダ:一瞬

ティア:え?

レジウィーダ:たった一瞬で、兄を消したい程の殺意が湧き立ったんだ。今まではそんな事はなかったのにね

ティア:………………

レジウィーダ:切っ掛けはフィーナさんの言葉だったのかも知れない。だけど、元から少なからずそう言った気持ちがなければ、きっとこんな事にはならなかったんだと思う

ティア:レジウィーダは、お兄さんを刺してしまった事を後悔しているの?

レジウィーダ:………………そうだね。もっと、あの人の妹として、素直になれたら良かった。お兄ちゃんが作る曲をもっと聴いてみたかったし、将来的にはあたしもそんなお兄ちゃんを手伝ったりとかも………してみたかったかな。まぁ、いくら言ったところで後悔先に立たず、なんだけどね

ティア:そう、なのね

レジウィーダ:向こうではお兄ちゃんは死んだ事にはなってないんだよ。お兄ちゃんの体も、あたしが刺した証拠になる物も全部異界の門の先へと消しちゃったから

ティア:そうなの?

レジウィーダ:うん。正直、本当に死んでしまったのかもわからない。だけど、この旅が終わって元の世界に帰ったら…………ちゃんと罪は償おうと思ってる

ティア:レジウィーダ………

レジウィーダ:仮にもしも必要ないって言われても、あたしに出来る事を見つけて…………お兄ちゃんの無念は何かしらの形で還していきたいんだ

ティア:そう…………でもきっと、レジウィーダなら出来るわ

レジウィーダ:えへへ、ありがとう


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