それは愛ではないけれど

放課後の教室で二人。
机に突っ伏した俺と、
俺の前の席で本を読む雷蔵。

「兵助、俺のこと嫌いなんだって…」
「自業自得だろう、それは」

俺の悪戯にキレた兵助に殴られた頬が、まだジンジンと熱をもって痛む。
それを感じながら何故か俺の口の端は自然と吊り上がった。
我ながら不気味だと思う。

「殴られて嬉しいって言ったら…それでもお前は親友でいてくれるのだろうか」
「…。兵助に同情するよ」

俺の心の中心は兵助。
だけど、お前が居てくれないと俺は生きていけないんだ。
なんて狡くて卑怯な、俺。

「とにかく明日はきちんと兵助に謝るんだ。いいね」
「…はぁい」

ありがとう。
好きだよ、雷蔵。
お前が他の誰かに夢中になる日もきっと来るのだろうけど、それが出来るだけ遅ければいいと思う俺は、やっぱりどこまでも卑怯だ。




end.




現パロ(高2くらい)をイメージして書いたけど、読み返してみたら普通に室町設定でも読めることに気付いて、あえて現パロ注意の表記をしませんでした。










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