繋がり ※「誰かに似ている」の続きっぽい。 ※単品でも読めます。 小平太は、太陽みたいな男だ。 いつでも彼と居ると温かい気持ちになれる。 職員室から教室への道を急ぐ。吹きさらしの渡り廊下はまだ寒く、肩をすくめて歩いた。 前方からやって来た集団に道を譲り、校舎へ入ろうとした。が、その中に居た小平太に背を叩かれて振り返る。 「仙蔵もバレーやらない?」 「バレー?」 小平太以外の4人は、誰も知らない。初めて見る顔だ。全員別のクラスの者だろう。 小平太となら行きたいと思って頷くと、他の4人も「これで3、3だ」等と言い、どうやら歓迎してくれたようだ。 「運動神経いいんだろ?仙蔵って」 「有名だよな」 「あ、仙蔵は俺と組むから!」 「何勝手に決めてんだ、小平太」 「…………」 「何でもいいよ。私は」 体育館に着いた頃にはチームが決まっていて、私は小平太と伊作と組むことになっていた。 「後ろの任せていい?仙蔵」 「ああ」 「大丈夫、俺が全部拾う!」 既に身長差ではこちらが負けているが、意気揚々とした小平太が隣に居るからか、負ける気はしなかった。 「いくぞー」 山なりのサーブをレシーブした小平太が、前へ出る。 ボールを上げた瞬間、鋭い角度で、彼のアタックが決まった。 「いえー!」 「さすがー」 二人とハイタッチしてから、ボールを受けとる。 同じように山なりのボールを返すと、トスを上げると思った長身の男が、フェイントでボールをこちらのコートへと落としてきた。 「いいぞ長次!」 「あ!うわ!」 何とか伊作が走って浮かせた、弱々しいボールを小平太が追う。 「仙蔵!」 宙に上がるボールに向かって駆け、できるだけ高くジャンプした。 いける! 「!」 打ったボールは、あっけなく長次と呼ばれる男にブロックされ、足元に落ちてしまう。 「あ〜惜しい〜」 「悪い」 「気にすんな〜。次次!」 額にうっすらと浮かんだ汗を拭う。 小平太にならい、ブレザーを脱いでコートの脇に放り投げた。 「最後のは絶対アウトだった!」 「そうは見えなかったが」 「バレー楽しかったな〜!」 「…………」 「伊作大丈夫か?」 「大丈夫だ、これくらい」 予令が鳴る頃にはすっかり4人の名前も覚え、打ち解けることが出来た。 結果は15対15で、最後に私が返したボールは線の上に落ちたように見えたが、文次郎はアウトだったと言う。 それならそれで別に構わないのに。煩い男だ。 「なあ、もしかして次数学!?課題あったよな!?」 「ああ。忘れてたのか?」 小平太と二人で廊下を急ぐ。と、後ろから文次郎の声がかかった。 「まだ勝負はついてねえからな」 小平太が返事をしないので、代わりに振り向いて頷いてやり、本令に急かされて教室へと入った。 end. |