『佐藤くん、足大丈夫?』


「なんとか・・・。すまない、松本。」


「いいんだ。」


佐藤くんが足を怪我してしまったので、持ってきていた包帯でキツく止血をする
そこまで出血はひどくなかったので、学校に戻ってゆっくりしたら大丈夫だろう
松本くんの肩をかりて佐藤くんが立ち上がる


タオルで拭ったけれど、自分から鉄臭い臭がする
鼻が慣れてしまってあまり感じないのだが、ふとしたときに鉄の匂いが鼻について頭がクラクラする
タオルは血で染まって固まってしまった


殴られた右腕が今頃ジンジンと痛んできた
はやく帰りたい




きっともうそろそろ学校につくのに
なぜだか胸がザワザワする
皆も落ち着かないようで学校に近づくにつれて会話がなくなっていた


「おい・・・あれ。」


松本くんの声に顔をあげれば
学校の方から煙が出ていた








やっくりと正門から学校にはいる
恐る恐る昇降口に辿り着くと


前からゆっくりとこちらに近づいてくる影がみえる



空気がより緊張した

ああ、あの人、ヤバい人なんだ




そう私でも感じた


「走れっ!!!」


松本くんが叫んだと同時に、みんな一斉に背を向けて走りだす




ブンッーー



空気を切る音



ドサリ



人が倒れる音




振り返っちゃダメだ



だめ




「伊達ぇえーー!!!」


松本くんの声に
振り返ってしまって


舞う赤色


その奥にギラリとひかる


目があった




あ、斬られる



わたし、死ぬんだ






「せんせぇっ!!!」
















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