いんぐりっしゅのお時間です






眼鏡君は溝口くんという名前らしい



そうそう上手にお友達。になれるわけもなく勇気を出して話しかけたわりには初対面の異性に対して話題を提供して話を広げる。だなんて高等テクニックは持ちあわせてないわけで

玉砕よろしく会話はすぐに終了してしまった


「このチラシ可愛いよね。」だなんて言ってはみたが、あ、ああ。そうだな。だなんてそりゃそうなるよなーという返事が返ってくるのみで


それでも逃すまいと必死に


勢いでとりあえず名前を名乗ってみたら、彼も名乗ってくれた

ただそれだけ



ただそれだけなのに


次の日キャンパス内で溝口くんを見かけると、彼もわたしに気づいてくれて

ペコリと無言の挨拶を交わしてくれた






お昼が終わって1コマ空いていたので、△と恒例となっているお菓子でも食べながらゆるゆるしようと思っていたのに

まだ英語のレポート課題のテーマが決まっていなかったので図書館に行くことにした

ちなみに△はもうすでにテーマを決めて取りかかっているらしい。いや、取り掛かる時に一声かけて欲しかった

私は英語が苦手で高校の時受けた模試の英語のみの偏差値はそれはそれはとても大学だなんて無理やろ。といった具合で、だから必死でその他の教科を勉強したのだった

現国や日本史など他の文系の教科はそこそこ出来てはいたが。どうも英語はまず勉強する意欲が全く産まれず大変だった。というか英語の先生。という存在が苦手だったのだ。なんだかこう、苦手だったのだ。私の通っていた高校には英語教育に特化したクラスも存在したのだがそのクラスの子とは初見でお友達だちにはなれないかも。と思えるほどなんだか合わないのだった

俗に言う
うぇーい。な人たちなイメージで

英語=うぇーい。が強烈過ぎて、英語に対する意欲が削がれてしまったのだ。と言い訳してみる


理系に入れば英語もうぇーい。も関わらずに済む。わけもなく

うぇーい。は回避できても英語は論文でつきまとってくる。というより理系のほうが英語できないと。みたいな事態で、もう気持ち的には鎖国したい勢いだ


ということなので今回の英語のレポート課題も、図書館にある英語の論文をうまいこと日本語訳になおして持ってこい。というもので私にとっては地獄のような課題なのだ


ため息をはきながら図書館の論文のコーナーをうろつく

幸いまだ(先生いわく)初歩的な英語の課題なので論文といっても論文雑誌に載っているようなちょろっと数ページのものでいいらしい。そうはいっても英語の論文なんて読んだことないのだから選ぶのすら大変で

とりあえず解説図が書いてあるようなわかりやすそうなものが載っているのを適当に何冊か手にとってみる


周りをみると自習用の一人用机は埋まっているみたいで

横に長いテーブルは結構あいてるから適当に座ってから決めようかなーと思っていると




ピッと背筋の伸びた姿勢で座っている溝口くんを発見した





ドキドキしながら彼に近づく


ふと、流石に隣は申し訳ないから彼の1個椅子飛ばして隣に座るべきか、正面の席に座るか
あ、でもいきなり近くに座ったら気持ち悪いかな。肩トントンとかしてもいいのかな。

とか色んな事が一瞬のうちに頭のなかを駆け巡って
うだうだ考えてる間にも、溝口くんとの物理的な距離はどんどん縮まってしまって
ええい、どうにでもなれ!!となかばパニックになりながらも動線的に一番近かった彼の正面になるべく音を立てずに、でも気づいて貰えるように気持ちオーバーかつゆっくりと手に持っていた本を置く




空きコマ時間の比較的空いている図書館でわざわざパーソナルスペースに侵入してくる人なんて普通いないわけで
さすがに溝口くんも目の前で動く不審な人影を認識したらしく目線を上げてくれた















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