マネージャー志望





溝口くんと、お友達になりました!

いままでは顔見知りレベルだったのがこれはもう友達と呼べるのでは?
英語の課題の話をすると、「それは専門用語が多いから、難しいのでは?」と、しかもこの雑誌は比較的簡単だからこの中から選んだほうがいいかもしれない。なんてアドバイスまで頂いて
課題が一段落するまで一緒にいてくれた。

溝口くん優しすぎる。
何かお礼したいなぁ。あ!てかもう連絡先とか聞いてもいいよね?

『溝口くん!連絡先交換しない?その、今日のお礼もしたいし……。』

「……かまわないが。」

『ありがとう!』

じゃあ、とポケットから携帯を出す。
ドキドキしながら連絡先を交換する。

「ああ、あのあと男子チア部に無事入れた。」

『えっ!そうなの?おめでとう!何人集まってるの?』

「今4人だ。今日このあとの早速練習する予定だ。」

『すごいね!よかった!』

あれから声をかけれたのか!溝口くんすごいなぁ。しかもさっそく4人も集まってるなんて、あのチラシ目立ってるし。このままいっぱい集まってくれたらいいな。

「ああ、□さんも興味があるなら入ればいい。」

『へっ!いや、私女子だし。』

「?」

『え……。男子チア部に女子はお呼びでないのでは?』

「マネージャーでもいけるだろう。」

『マネージャー……。』

いや、溝口くんがそう言ってくれたのは嬉しいけど、部員だってまだ4人みたいだし、その中でマネージャーやりたいって、なんか、こう。男狙いみたいじゃない?
コミュニケーション能力高い子しか無理じゃない?わかんない。サークル行ってなさすぎてわからない。

『か、かんがえてみるね!とにかくこのあと初練習楽しみだね!頑張ってね!!』

「ああ。」

嫌ではないから、拒否するのもおかしいし、とりあえず濁してその場を終わらせた。
一緒に図書室を出て、溝口くんは体育館にいくからと二手にわかれる。別れ際に練習頑張ってね!疲れたらこれ食べて!と
まだ開けてなかったプロテインバーを溝口くんに差し出す。
ダイエットの味方プロテインバーは乙女の必需品だ(自社調べ)
次の講義は教室が遠いの忘れてたので早口でプロテインバーを溝口君に押し付けて別れを告げた。






ギリギリ間に合ってきっかり講義を受けれた。
ひとまず今日は終わりだから、このまま帰ろうかな。まだ男子チア部は練習してるのかな?まぁ、今日はありがとうメールでも夜に送ろうかな。なんて考えてぼけっと考えながら校舎を出る。

「□さん。」

『あっ!溝口くん!練習おわったの?』

「いや、練習ではなかったんだが。」

ん?どゆこと?首を傾げて溝口くんを見ていると、彼の後ろから誰だ!もしかして彼女か?とヒソヒソ声が聞こえてくる。
社会学部の二人と……大っきい人。あ、この四人でチア部なのかな?

「スカウトしていた。」

『…?そうなんだ。お疲れ様。いい人いた?』

「おいおい、溝口ぃ。紹介してよ!」

勢い良くバシッと溝口くんの肩を掴んでニヤニヤとした笑みを浮かべて話しかけてくる。

「カズ、彼女は□さん。男子チア部のマネージャー志望だ。」

『えっ!』

何勝手にっ!溝口くん!?

「「えっ!!!マネージャー!?」」

うわうわ、駄目だよ。何言ってんだこいつ!って思われちゃう!


「すげぇ!いいじゃん!大歓迎!!!」


ニカッとあの太陽みたいな笑顔で彼が笑った。
あんまり眩しいから、否定するのを忘れてしまって

「おれ、橋本 一馬!カズって呼んでよ。んで。」

「ぁっ!俺は坂東 晴希。ハルって呼ばれてます。」

「遠野浩司だよぉ。トンでよろしく!」

『あ、□○です。よろしくお願いします。……じゃなくて、あの!その、私男子チア興味はあるんですけど、バイトとかもありますし、そんなに対してお力になれないといいますか、マネージャーなど恐れ多いというか……。その。』

チラッと、カズくん、を見ると
うう、めっちゃニコニコしてる。かっこいい。

「興味あるなら入ってよ!部員人数増えるだけでも助かるし、可愛い女の子のマネージャーがいるってだけで頑張れるしねぇ。」

か、かわいい!?社交辞令なのはわかってはいるけど、そんなことお世辞でも言われ慣れてないので顔がブワッと赤くなる。

『あ、いいの、かな?』

「もちろん!!よろしくね、○ちゃん!」

『えっと、よろしく、お願いします、』

名前を呼ばれてムズムズする。いままで男の子に名前で呼ばれたことなんてなかったし。勢いで承諾してしまった。ど、どうしよう。

「やったぁ!また1人増えたね!」

「じゃあ、このあとの飲み会も○も一緒にくるか?」

え、溝口くん順応早すぎない?名前呼び捨て!?え、あ。ん?飲み会?

『えっと……予定はないから、いけるけど。』

いきなりなんてご迷惑では?

「いや、○ちゃんは辞めといたほうがいいんじゃない?」

「だが、彼女も男子チア部の一員になったのだぞ。なら勧誘も共に行くべきだろう。」

「でもなぁ……。」

カズくんと溝口くんが二人で喋っている。
う、やっぱりお呼びでないのでは?カズくんは男だけでワイワイのみたいんじゃ。
ん?勧誘?誰か飲み会で口説くのかな?

「○ちゃん、そのー、お酒強い?」

『あ、うん。人並みには。』

「仲間はずれは良くないだろう。」

「うーん……。じゃあみんなで行こっか。」

もはやここまで渋られると、ちょっと悲しいんだけど。
私はなぜカズくんがこんなに渋っていたのかを後から理解したのだった。














×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -