>> 暑い夏の夜は 後






「あ、もうすぐ神社じゃない?」
「…何で階段こんな長いんだよ」
「…でもさ、関係ないんだけどさ、あの奥さんの見立てって凄いよね」
「は?いや、凄いけどさ、何で?」
「…だってさ、オマエの浴衣紫で女物みたいでさ、…何か、欲情しちゃうんだよね。というか、しちゃったが正解かな」




言うや否やオレを鎮守の森へと連れ込むと激しい口付けを寄越した。満足な抵抗も出来ぬまま盛った男に翻弄されていれば、浴衣の懐を割って胸元への侵入を果たした器用な指先が素肌を這う。それに危機を抱いたオレはカカシの唇を咬んで思いきり睨んだ。恥ずかしながらほんの数分の出来事で息が切れている。




「オマエ、ここ、何処だか分かってやってんのか」
「…じゃあ木の上で」
「わっ!バッカそういう意味で言った訳じゃねぇよ!盛んなショタコン!」
「…そんなショタコンに感じてんのはどこの誰よ」
「んっ…!やめっ…!オレ浴衣の帯結べないからっ…!」
「オレが覚えてない訳ないでしょ」




慣らされた身体は僅かな刺激でさえ快楽に変換しオレは淫らに腰を揺らしている。嫌だと口にはするが、与えられる快楽には弱い。すっかりその気になったオレの下半身は触れられることを待ち望んでいた。それを知っていながら焦らしてくるのだからこの男は質が悪いのだ。




「…腰、揺れてるね?」
「やっ、言うなっ…!もう、焦らすなよ…!」
「…しょうがないね」
「あっあっ、指…!もっとっ…!」
「…あーあ、淫乱。そういう所も好きだけど」




理性は最早脆く崩れ去り獣の様に快感を追っていく。オレが甲高い喘ぎ声を上げる度にカカシの指は容易に増え、グチュグチュと卑猥な音を立ててオレを責め立てた。口を開けば悲鳴にも似た嬌声しか出ない。野外だということも忘れてオレは行為に没頭していた。腰を自ら動かしてカカシの指を深く感じようと足を開く。あんあん喘いで腰を振って、さながら春を売る淫らな女の様だ。




「…足、もう少し開いてオレの上乗って」
「う、ん…!入れんのっ…?」
「…流石にオレも限界だから。木の上だとバランス取り難いからオマエ動いてよ。オレが腰支えてるから、さっ…!」
「ひっあ…!んんっ!むりだってばぁ!」
「無理じゃないでしょ?よくやってるじゃない。この前だって家のトイレで腰振ってたくせに」




恥辱にカッと頬を染めればまたカカシは男臭く笑った。カカシの身体に跨がった所で精々胸の辺りに頭が届く程度で到底自ら口付けることは出来そうもなく、白銀の髪を緩く引いてその意思を伝えれば優しい唇が降りてくる。腰をゆっくりと撫でるカカシの腕に手を乗せてオレはゆるりと掻き回すように腰を動かした。まぁ大抵この辺りからオレのなけなしの理性は完全に吹き飛ぶ。何を口走ったかどころか気付いたら終わっているのが常であり、今日だって例外ではない。気付いたら浴衣は肩に羽織っているだけで帯は近くに引っ掛けてあるし、カカシの一物はまだ中に突っ込んであるし、腰は痛いしその他諸々言いたいことは山程あるが早急にどうにかしたいことは一つだ。




「…身体、洗えねぇの」
「…ごめん、近くに川あるからさ」
「…そこまでオレに歩けってーの?」
「ごめんなさい、ちゃんと担ぎますからすいません蹴らないでナルトさん」
「分かりゃいいんだよ分かりゃ。まぁこんな所でヤらせたツケはオマエの身体で払ってもらうから?」
「え、」
「紅とかあの辺りに渡しとけば安心だよな」
「待ってナルト!ごめん土下座とか何でもするからさ、それだけはやめて!」
「…何でも?」
「…あ…」




その言葉をオレは待ってたんだよ。ニヤリと笑えばカカシの笑顔が引き攣る。こういう所が可愛いから好きなのだ。とてもつい先程まで獣の様な目で笑っていた男だとは思えない。




「…待ってナルト!前言撤回!」
「オイオイ、オマエ男だろ?男に二言はねぇってオレに教えたのは何処の誰だっけ?」
「いや…あの…」
「とりあえずSSS任務でも引き受けて暫く煩悩を断ってこい」
「ええ…オレだってまだ若いんだよ、盛りの二十代だよ?ちょっとそれはキツいって」
「黙れショタコン。オマエに拒否権があると思ってるのか」
「…すいません」




誰がこんな子供に言い負かされているような男を里一番の忍だと思うだろう。存外カカシは甘えたなのだ。しゅんと項垂れオレの浴衣を直したカカシは再びオレを抱えて喧騒の中へと戻ってゆく。その横顔に何年経っても胸を高鳴らせ、絆され、結果甘やかしてしまうという事実はカカシには内緒だ。




 




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