長編 | ナノ


4.これってやっぱりお決まりなんですか



幸村様に仕えるようになって数日。やっとこちらでの暮らしに慣れてきた頃、ひとつ気になることがあった。



同じ忍隊の、一部の奴らからの嫌な視線。



はじめの内は、いきなり入隊した私が他国の間者である可能性を考えて警戒しているのかと思い、出来た忍たちなんだろうなーなどと考え、そのうち信頼されるようになればいい、なんて気楽に考えていた。だが、それはどうやら違ったらしい。



――嫉妬の念。



忍としてあってはならない感情なのだが、きっとここの忍たちは他とは違うのだろう。というよりも、主がずれているのだろう。
本来、金で契約してその分だけきっちりと仕事をこなすはずの忍が、明らかに「主に認められたい」という想いのもと任務にあたっている。長に対してもそれは同じで、真田の忍たちは二人の役に立ち、認められることを生きがいにしているようにさえ見えた。



はっきり言って、異常だと感じた。



これまで、金以外の理由で人に尽くすことなんてなかったから。
忍である以上、私みたいなやつの方が普通なのだろうが。



だから、突然忍隊に入ったかと思えば長とは顔見知りだし、幸村様からは長に次ぐ立場を与えられるしで、私のことが気に入らないやつが出るのも当たり前の話であった。本当、嫉妬とか面倒な感情だ。古今東西変わらず、こういう厄介な人間関係っていうのは生まれてしまうのだなとしみじみ感じた。



ただ、私だってここで仕えることになったからには、しっかり仕事しなけりゃならない。
よって、面倒なやつの標的にされて、少しでも邪魔をされるようなことは防ぎたかった。



早いうちに、わからせてやらないと。






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