長編 | ナノ
「みょうじなまえ、あなた様の御身を御護りし、ともに戦うべく参りました。どうぞよしなに。」
師匠の紹介で、私は真田家に仕えることが決まった。真田家というよりは、幸村様直属の忍と言った方が正しいか。
「う、うむ。よよよろしく頼むぞ!」
なにやら落ち着きのない。それが幸村様への第一印象。「お、おなごであったか……」とかボソボソ言っているのが聞こえた。ウブか。
すると、その隣にどこかで見たことのある男が、忍術で闇の中から姿を現した。
「あーやっぱり。甲賀の忍が新しく来るって言うから誰かと思ったら、お前だったのね〜なまえ。」
「!!猿飛佐助?」
「ちょっと、いきなり呼び捨てはひどいんじゃない?俺様一応里の大先輩だし〜。ここの隊長だし〜。」
「……。」
「おお!二人は知り合いだったのだな!」
「まぁそんなとこ。里の後輩的な。結構俺様が稽古つけてやったりしたんだよねー。」
「その節はお世話になりました、“長”。」
「なんかいきなり他人行儀……それはそれでちょっと寂しいかも……。」
……チッ
「え、ひどい、舌打ち!?」
「佐助落ち着け!なまえ、改めてこれから忍隊の一員として頼むぞ!」
「承知いたしました、幸村様。お役に立てるよう精進します。」
この主には、忍としての仮面みたいな表情はいらないような気がして、いつもより少し柔らかい顔で目を見て言葉を返すと、幸村様の顔はなんだか赤くなっているようだった。
「…ちょっと旦那、何顔赤くしてんの。」
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