がる空
05



場の空気がはりつめ、綱吉が口を開いた時、それは来た。



ドドドドドドド…
―――バタアァァァァン!!

「極限に大丈夫か沢田ァァァ!!!」

「うっせぇんだよ芝生頭!十代目のお体に障るだろうが!!」

「む…、それはすまんかったな!」

「お、お兄さん……(後ろにボクシング部員引き連れてるーー!!)」

「ボクシング部の昼休みのランニングの途中で沢田が倒れたと聞いたのでな。心配になって来てみたが、元気そうで良かったぞ!」

綱吉が元気そうなのを見て満足げに笑った了平は、何故か腕を組んで唸る。

「本当は、雲雀も連れてこようとしたんだがな……」




遡ること数分前―――

バタアァァァァン!!
「うおおおおお!!雲雀はいるかアアア!!!」

「笹川ーーー!?」←草壁

「雲雀!沢田が倒れたらしい!極限に心配だ!!保健室に行くぞ!」

「知っているし、行かないよ。そんな事より…僕の前で群れないでくれる?噛み殺すよ…!」




「―――と言われて追い返されてしまったのだ!」

なぜだー!と叫ぶ了平と、その後ろで足踏みしながら待機するボクシング部員。了平の影響をもろに受けている彼らは、かなり……熱苦しい。それを見た綱吉が、まさかと思って問いかける。

「お兄さん……もしかして後ろの部員の人達全員引き連れて雲雀さんの所行ったんですか?」

「勿論だ!極限にランニングの途中だったからな!」

その場にいたボクシング部員以外の全員の顔が引き攣る。
それは……雲雀じゃなくても嫌がるだろうよ。とは誰も言えなかった。



††



同時刻、黒曜ランド


「犬…千種…、骸様は…?」

「ああん?お前一緒じゃないのかびょん!」

「え…?」

「…ついさっき、何だか珍しく慌てて、クロームを捜しに行ったよ」

「私…会わなかった……」

「あの骸しゃんが入れ違いなんて、ウケるびょん!」

「「犬……殴られるよ…」」

「む、骸しゃんに言うなよ!」

「私…外見てくる」

「やめておきなよ…。また入れ違ったらどうするの」

「というかお前、離れてても骸しゃんと話せるんじゃねーのかびょん」

「…あ、そっか。やってみるね…」


犬に言われてはっとしたクロームは、意識を集中させて骸に話しかける。

これで万事解決か…と二人がため息を吐いた時、クロームの困惑した様な声が響いた。


「……え?骸…様…?」







異常は、始まっていた。



(もう、引き返すことは出来ないよ)

(そう、これは私の最後の賭けなの)




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