繋がる空
04
「十代目…!」
「ツナっ!」
勢いよく扉を開け放った獄寺と山本。二人の視線の先には、トンファーを構えて不機嫌そうに宙を睨み付けている雲雀と、ゆっくりと倒れる綱吉。その綱吉の襟首を雲雀が掴んで止めて…………手を離した。
当然の如く重力に従って地面(屋上のコンクリ)に叩き付けられた綱吉。頭から落ちなかったのは、雲雀の優しさ……かもしれない。
その光景に唖然としていた獄寺と山本だったが、我に返った獄寺が綱吉に駆け寄る。それに続いて山本も綱吉に駆け寄った。
「おいツナ、大丈夫か?」
「テッメェェ!十代目に何しやがる!大丈夫ですか十代目!?」
トンファーを仕舞った雲雀は食ってかかった獄寺をまるっと無視して、スタスタと歩き出した。それを山本が止める。
「待てよ、雲雀。何があったんだ?」
「話なら赤ん坊に聞きなよ。僕はもう帰るから」
山本の横をすり抜けて、雲雀は屋上から去って行った。入れ替わる様に、リボーンが飛び降りてくる。
「ちっ。ツナの奴、油断しやがって…」
「小僧、居たのか!」
「リボーンさん!十代目は大丈夫なんですか!?」
「気を失ってるだけだ。……と言いたい所だが、一応シャマルに診せておいた方がいいだろうな」
ペチペチと頬を叩いみても起きない綱吉を見ながら、リボーンが言った。
(それにしても、あの子供は一体……)
†
「は?分からねぇだと!?」
「ああ。体に異常はねーし、薬が使われてる訳でもない。ま、本人が起きない事にはどうしようもねぇな」
「チッ…役立たずが」
「おいおい。診たくもねぇ男無理矢理診させといてそりゃねーだろ」
保健室のベッドに寝かされた綱吉と、その横で騒ぐシャマルと獄寺。それを見て笑う山本に、考え込むリボーン。
そんな中、眠っていた綱吉が小さくうめき声を上げた。それを一番に聞き取った獄寺がベッドに飛び付く。
「十代目!」
「……獄寺君?あれ…オレいつの間に寝て…」
綱吉が体を起こすと、獄寺ははっとした様に跳びずさり、土下座をして額をガンガンと床にぶつけ始めた。
「お守りする事が出来ず、申し訳ありませんでした十代目ェェ!」
「起きぬけにいきなり土下座されたーー!?ちょ…何事?!獄寺君顔上げて!!」
「ははっ、ツナ元気そうだな」
「あ、山本。うん、元気だけど……っていうか何でオレ保健室に?」
「ツナ、お前屋上で何があったか覚えてねぇのか?」
「屋上?…あ、そういえば山本が野球部のミーティングに行った後で、いきなりフゥ太と同い年位の女の子が現れて……あれ?それからどうしたんだったけ…」
「記憶を消されたか…」
「どういう事ッスか、リボーンさん」
「雲雀が言うには、そのガキは守護者の情報を把握していたらしい。聞こえたのは、嵐と雨がツナと一緒に行動している事、晴がボクシング好きだという事だけらしいがな」
「おいおい…大丈夫かよ、ボンゴレの諜報部。情報ダダ漏れじゃねーか。ちゃんと仕事してんのか?」
「お前にだけは、諜報部の連中も言われたくねぇだろうよ」
「ああん?喧嘩売ってんのか、隼人」
「ケッ、本当の事だろうが」
再び騒ぎ始めた二人だったが、リボーンに「うっせぇぞ、てめぇら」と一蹴されて黙り込んだ。
「問題はあの子供がこの後どう動いてくるかだな」
「この後ってどういう意味…?」
「ツナの記憶を消したという事は、ツナとの会話の中に今後の動きに関わる何かが含まれてたって事だろ。それがどんなものかは分からねーがな」
「それって……」