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2:この世に咲いている全ての恋の中に偽りのものなんて一つも無いんだよ
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知らないだろう。知らないだろう。知らないだろう。貴方は知らないだろう。何故ならば、俺の瞳を濡らす熱いものは貴方に触れる前に冷たくなってしまうから。何故ならば、俺の心を揺らす激しいものは貴方の前では微風のようなものだから。何故ならば、俺の体が、貴方の視界に入る価値を持ち合わせていないから。知らないだろう。知らないだろう。知らないだろう。この熱く激しく狂おしく惨めで重たく苦しい感情の名付け親を憎むこの気持ちを。何故ならば、何故なら、何故なら、ば…………嗚呼。そんな、そんな顔で笑わないで。そんな、そんな奴の前で笑わないで。がちがちと鳴るものが自分の歯だと気付いて、ふと見た手のひらには爪の先くらいの傷が出来ていた。こんなもので簡単に血が流れてしまう、俺の弱さを許せない。貴方は知らなくていい。知らなくていいから、ねえ、愛させて、愛させて、恋をさせて。



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