【2021年 7月25日】


 今日、真木が訪ねてきた。今は薫、紫穂、葵がリーダーのパンドラで幹部を務めている、あの男だ。
 彼らにここの場所は伝えてはいた。なのにどうして今まで来なかったのか。それを聞いてみると、どうも兵部の遺志らしい。

 兵部は、もう彼らに別れの挨拶位は済ませていたそうだ。彼はあの彼自身のまま、皆の前から姿を消したかったらしい。このような姿を自分の育てた子らに見せたくは無かったのだろう。だからその気持ちを尊重して、ここへは誰も来ていないのだと。
 ああ、そうすると僕に彼を託されたのもそれなりに頷ける。決して仲良しこよしでは無かったからこそ、僕ならば彼はそういう理由で嫌がることは無いだろうと判断したのだろう。一応京介に家族として接してきた実績もあったし。

 で、そこら辺はまあ置いといて。真木司郎。彼がここへ来た理由について書こう。
 彼は、僕がちゃんと兵部の面倒を見きれているのか心配で来たらしい。まあ僕の今までの行動を考えるとそうしてもおかしくない。というか実に正しい判断だと思う。

 まあ、一応大丈夫だと納得して帰ってくれて本当に良かったよ。いやあ、よかったー。今日は何も変なことしていないで。……ちょっと前だったら今頃僕は死んでいたかもしれない。


 それから彼がここを訪ねてくることは、二度と無かった。





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