【2021年 7月10日】


 それからも兵部に言葉を教えるようにはしていた。でも、全く覚えてくれない。あの手この手で結構色々試したのだけれどな。
 まあ、なので最近は結構投げやりで適当。せめてパンドラのメンバーの名前だけでも覚えさせてやりたかったのだけれど。しかし、どうにも彼自身が拒否しているようにも見える。まあ、なら、到底無理だろう。それが彼の意志ならばどうしようもない。うん、しょうがない。僕の教え方が悪いわけでは絶対にない。絶対にだ。

 最近気づいたこと。兵部は偶に何もない空間を見つめていることがある。ぼーっと、例えば多くは僕の背中あたりをじっと見据えている。その時の顔は割りと無感情なので正直ちょっとこわい。彼には一体何が見えているのだか。幽霊は、流石に科学的にちょっとありえないし勘弁してくれ、してください。

 そこ以外だと、後は外を見ている。普通に小一時間位はずっと窓の向こう側を見ている。だから外に行きたいのかと思って連れ出そうとしたら、そういう事ではないらしい。無茶苦茶に暴れられた。頬のひっかき傷がちりちりと痛い。まあ、いいけれど。

 にしても、本当に一体どうして彼はそんな所を見つめているのだろう。ああ、そういえば昔キャリーが僕の背中に天使を見た、と言っていたっけ。彼も今は随分と幼いからその類かな。うん、幽霊なんかよりかはよっぽどいい。そういう事にしておこう。うん。





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