*今更ながら2014年11月11日ポッキーの日記念。
【キスよりも何よりも、君】
「兵部クン」
「なんだ」
まあ、今回ばかりは一発で察しがつく。
「ポッキーゲームをしよう」
だって、その言葉の通り彼の両手にはポッキーが二本、握られているのだから。
「やだね」
「なんで」
大方、また妹の影響だろう。父親への定期連絡のつもりなのだろうが、彼女もよくやるよ。こうなるだろうと分かっている癖……分かっていないのだろうな、あの子のことだから。
「お前だって僕と唇を合わせたかないだろ」
その影響を受ける僕の事。もうちょっと考えて欲しい。
「えっ?」
「あー……」
しかもこの坊やは男同士の接吻に忌避感が無いらしい。そういう事をよくわかっていないにしても、勘弁して欲しい。いやもう、本当に。
「……?」
まあ、そればかりは仕方がないから。
「これで、我慢しな」
軽く、頬へとキスを送ってやる。しばらく前にもやったことがあるな。最高の誤魔化しだよ。
「そうでなくて」
「ん?」
しかし今回は無意味だったそうだ。残念。僕の唇は高いんだぞ。
「兵部クンに突き刺しまくるゲームでしょ」
「待て待て、お前は何か誤解している」
参った、コイツ思っていたよりもおっかない事考えていやがった。
「まあ何でもいいよ、ほら始めよう」
奴がポッキーの先端をこちらへ向ける。その矛先は……僕の目玉。
「や、やーめーろー!!」
こりゃ、普通にキスしていた方がよっぽどマシだったかもしれん。なんて思ったりした11月11日の夜。勿論、ギリアムの突き出すポッキーを辛うじて避けながら。
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