【伝えようとしなきゃ伝わらない】
「兵部クン、兵部クン」
「なんだよ」
ちょいと切り刻まれて、ちょいと縫合の終わった後。
「呼んだだけ」
「ぶっ飛ばすぞ」
ちょいとした争い勃発。
「やれるものなら、ぶッ」
「元軍人ナメるのもいいかげんに、ぶッ……やったな?」
我ながら下らないと思うが、傷口がじわじわ痛み、体も重くだるい中返事したら、これだ。腹が立って仕方がない。
「君が先にやったんじゃないか」
「お前がやれと言ったんだろう」
だからちょっと殴るくらい仕方がない。おかげで傷口が余計に痛い。あー、もう、腹立つ。
「まだ言ってなかったよ」
「そういやそうだな」
いや、でもアレもう言ったも同然な気がするけど。
「よくも僕をぶったな!」
「待て、そもそも人を苛立たせるような事したお前が悪い!」
そうそう、お前が悪い。何が呼んだだけ、だ。殴られても文句は言えない。言わせてやるもんか。
「だって、なんとなく呼んでみたくなったんだ」
「あー……なら仕方ない、わけあるか!」
「ぶッ」
まあ、うん。やっぱりお前が悪い。それならそうと、最初から言えばいいんだ。
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