【電信柱に二人。】


「不二子さん、ダメだったわね」
「しょうがないよ」
「そうね」

 彼女とは理念の不一致。ならば歩むべきは私達とは違う道。

「でも、なまえはこちらでよかったの?」
「ん?」

 彼女は共存を、彼は1つの破滅を望んだ。

「不二子さんについていったほうが、よかったのでないの?」
「ああ」

 そういうこと。この人は不安なのだ。こっちがいいとの確証が欲しくて、でもあちらがいいとの言葉だけは聞きたくない。

「そっちの方が、きっと安全だった」
「いいのよ、私は貴方がいる所が好きなのよ」

 正直、普通人や超常能力者なんだかの話には興味が無いわ。というよりも、わからないのよ。今までずっと貴方達と過ごしてきた普通人の小娘になんざ、そんな大きな世界は分からない。

「そっか」
「そうよ」

 それがいいのよ。折れた電信柱の先っちょに佇むだけの狭い貴方だけの世界が私の全て。





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