【ずっと傍にいてあげる】
「なまえ」
彼の呼ぶ声。なあに、と返事しようとしたなまえの唇は、そうだ、そう言えばもう無かったのだった。
「これで、ずっと一緒だね」
そう耳元へ……ああ、これも既に無くなってしまっている。囁く彼の声は、狂気の中に一抹の喜びを孕んでいた。
「君は絶対に僕の傍を離れない」
でも、この人は私まで裏切るとでも思っていたのかな。なんて失礼な。
まあそれも仕方ない事なのかもしれない。あの人に撃たれた後の彼は、ずいぶんと疑心暗鬼になっていたから。
「ずっと、傍に居てあげる」
そうは言っても、伊号みたく脳味噌だけ取り出さなくともよかったと思うのだけれどなあ。
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